[P08-06] 当院における小児Cardiac ECMO例の経験
Keywords:体外循環, 術後管理, ECMO
【背景】ELSO(Extracorporeal Life Support Organization)報告ではCardiac ECMO離脱率は61%,生存率は45%と報告された。本邦でも呼吸不全のECMO例のデータ集積が行われているが、Cardiac ECMO例の集約やデータ集積は難しく施設ごとに対応している。【目的と方法】2004年以降、当科の小児Cardiac ECMO導入例を検討し課題を明らかにする。【結果】当科のCardiac ECMOはCentral ECMOが第一選択で、充分な流量補助を行い、必要に応じて左心系脱血も追加する。ACTは高め管理し回路交換を減らす。心のう内血腫除去は積極的に行う。離脱前はシャント回路を増設し低流量補助を行い離脱判断を行っている。Cardiac ECMO 23例を検討した。導入理由は、開心術後の循環破綻が10例、CPB離脱不能が6例、劇症型心筋炎が4例、ECPR(Extracorporeal cardiopulmonary resuscitation)が3例であった。導入時平均流量は2.47±0.23L/min/m2, 期間は82.6±54.9時間、ACT値は213±66(s), 回路交換は0.4回であった。全体のECMO離脱率は17/23(73.9%)、生存率は15/23(65.2%)であった。術後導入例では9/10(90%)が離脱し、8/10(80%)が生存したが、CPB離脱不能例の離脱は2/6(33.3%),生存は1/6(16.7%)と低かった。心筋炎4例中3例と、ECPRの3例は離脱し退院した。入院死亡は8例で、CPB離脱不能の死亡5例中、4例を単心室の房室弁形成後が占めた。関連合併症は、死亡1例で、心内血栓から下行大動脈閉塞を来し下半身虚血で失った。15例に24回の血腫除去、止血を行った。創部感染2例、心タンポナーデ1例、溶血1例であった。【まとめ】ELSO reportと比較し離脱率と生存率は良好だが、CPB離脱困難例で単心室の房室弁逆流の死亡が多かった。容量負荷への耐性や、心機能、長期間の人工呼吸が及ぼす心肺機能への影響などが考えられる。修復術の問題から救命困難例も含まれたが、家族受け入れの時間も必要だった。延命目的の導入は適切な判断が必要だが実際は難しい。