[P09-01] 当院における心臓腫瘍の臨床的検討
Keywords:小児心臓腫瘍, 横紋筋腫, 巨大腫瘍
【背景】小児の心臓腫瘍の発生頻度は稀で多くが良性であるが、多彩な臨床経過を呈し、予後不良なこともある。【方法】2001年~2017年に当院で診断した心臓腫瘍症例11例を後方視的に検討し、予後と治療方針について検討した。診断は心エコー、MRIで行い、摘出したものは病理で確定診断を行った。【結果】診断時年齢は0~8歳(中央値0歳)、観察期間は2~63ヶ月(中央値16カ月)、腫瘍最大径は2mm~60mm(中央値9.3mm)。診断時期は、胎児4例、出生時もしくは新生児期6例、学童期1例。診断は横紋筋腫4例(内3例は結節性硬化症合併)、粘液腫2例、横紋筋腫疑い5例。部位は左室壁4例、左室流入路2例、左室流出路2例、右房1例、右室壁3例、心室中隔1例、心房中隔1例、左房1例、そのうち多発例4例の重複を含む。経過中、腫瘍増大1例、縮小・消失3例、不変2例、転居や自己中断でフォロー中止3例(内1例で突然死)であり、症状を呈した2例(横紋筋腫、粘液腫)に摘出術を行った。胎児診断された4例は、いずれもサイズが大きく(10~60mm)、内2例に摘出術を行い、1例は突然死した。突然死の1例は左室壁発症の巨大腫瘍で画像診断では横紋筋腫を疑っていた。【考察】心臓内腔を圧迫するほどの巨大腫瘍の転帰は予測しづらく、治療方針の決定に苦慮する。出生前より指摘されている心臓腫瘍はサイズが大きく、治療対象になる可能性が比較的高い。巨大腫瘍で左室を占拠するものは致死的不整脈などがおこる可能性があり、縮小傾向になければ生検を含めた積極的な精査や不整脈管理、外科的治療を検討する必要がある。