[P10-04] 冠動脈瘤を形成した、症状が発熱のみの不全型川崎病の1例
キーワード:川崎病, 不全型, 冠動脈瘤
【背景】川崎病診断基準1項目以下の不全型川崎病はきわめて稀である。川崎病診断基準1項目のみ(5日以上持続する発熱)で、冠動脈瘤を形成した不全型川崎病を経験したので報告する。
【症例】1歳8か月男児。38度台の発熱が出現し近医で抗菌薬加療が行なわれ、発熱第5病日に一旦解熱した。第7病日再度38℃台の発熱が出現した。近医で加療後も発熱が持続し、第12病日に当院に紹介され、CRP13.1mg/dl, PLT49.2万/μlにて、当院に入院となった。同日より抗菌薬CTXを投与したが解熱せず、第15病日に抗菌薬をMEPMに変更した。しかし発熱が持続し、第17病日には、CRP9.7mg/dl, PLT62.6万/μlで、熱源精査目的に全身のエコー検査を施行したところ、左冠動脈主幹部(LMT)径3.7mm、左回旋枝(LCx)径4.3mm、右冠動脈(RCA)径4.3mmと明らかな拡大を認めた。経過中、各種細菌培養結果は有意でなく、発熱以外の川崎病診断基準は満たさず、BCG部の発赤も認めなかった為、発熱のみの不全型川崎病と診断した。診断時の群馬大学スコアは1点のみであった。
免疫グロブリン静注とアスピリン内服を開始し、翌第18病日に速やかに解熱して機嫌良好となった。第23病日の心エコーではLCx近位部が径4.3mm、遠位部が2.6mmで明らかな瘤の形成を認め、第24病日に退院した。第58病日の心臓カテーテル検査では、LCx近位部に径4.3mmの冠動脈瘤を認めた。LMT、RCAは径2.7mmと自然退縮しており、その他鎖骨下・腋窩・大腿・腎動脈には動脈瘤の形成を認めなかった。
【考察】発熱以外に川崎病症状を認めなくても、不全型川崎病は否定できない。その診断には心エコーが必須である。従って、熱源不明の発熱が持続する場合は、不全型川崎病の鑑別のために心エコー検査を施行すべきである。
【症例】1歳8か月男児。38度台の発熱が出現し近医で抗菌薬加療が行なわれ、発熱第5病日に一旦解熱した。第7病日再度38℃台の発熱が出現した。近医で加療後も発熱が持続し、第12病日に当院に紹介され、CRP13.1mg/dl, PLT49.2万/μlにて、当院に入院となった。同日より抗菌薬CTXを投与したが解熱せず、第15病日に抗菌薬をMEPMに変更した。しかし発熱が持続し、第17病日には、CRP9.7mg/dl, PLT62.6万/μlで、熱源精査目的に全身のエコー検査を施行したところ、左冠動脈主幹部(LMT)径3.7mm、左回旋枝(LCx)径4.3mm、右冠動脈(RCA)径4.3mmと明らかな拡大を認めた。経過中、各種細菌培養結果は有意でなく、発熱以外の川崎病診断基準は満たさず、BCG部の発赤も認めなかった為、発熱のみの不全型川崎病と診断した。診断時の群馬大学スコアは1点のみであった。
免疫グロブリン静注とアスピリン内服を開始し、翌第18病日に速やかに解熱して機嫌良好となった。第23病日の心エコーではLCx近位部が径4.3mm、遠位部が2.6mmで明らかな瘤の形成を認め、第24病日に退院した。第58病日の心臓カテーテル検査では、LCx近位部に径4.3mmの冠動脈瘤を認めた。LMT、RCAは径2.7mmと自然退縮しており、その他鎖骨下・腋窩・大腿・腎動脈には動脈瘤の形成を認めなかった。
【考察】発熱以外に川崎病症状を認めなくても、不全型川崎病は否定できない。その診断には心エコーが必須である。従って、熱源不明の発熱が持続する場合は、不全型川崎病の鑑別のために心エコー検査を施行すべきである。