第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

画像診断

ポスターセッション12(P12)
画像診断 1

2018年7月5日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:武井 黄太(長野県立こども病院 循環器小児科)

[P12-01] Total Cavopulmonary Connectionにおける三次元超音波検査を用いた中心静脈圧の推定

吉敷 香菜子1, 馬原 啓太郎2, 濱道 裕二1, 小林 匠1, 石井 卓1, 稲毛 章郎1, 上田 知実1, 寺田 舞2, 嘉川 忠博1, 矢崎 諭1 (1.榊原記念病院 小児循環器科, 2.榊原記念病院 循環器内科)

キーワード:三次元超音波検査, 中心静脈圧, TCPC

【背景】超音波検査での右房圧 (RAP)は下大静脈径とその呼吸性変動率による推定法が一般的だが、先天性心疾患における方法は確立していない。Total cavopulmonary connection (TCPC)を含む先天性心疾患における超音波検査でのRAP、中心静脈圧 (CVP)の推定法を検討する。
【方法】カテーテル検査と超音波検査を同時に施行した先天性心疾患TCPC (N=30)とnon-TCPC (N=60)を検討した。二次元 (2D), 三次元 (3D)超音波検査により肝静脈流入部近位の下大静脈をTCPCはCVP, non-TCPCはRAPの測定と同時に撮像した。吸気、呼気の下大静脈短軸径 (2D-, 3D-IVCD; mm/m2)を計測し、呼吸性変動率 (%) を算出した。
【結果】TCPCのCVPは15±3 mmHg, non-TCPCのRAPは8.8±3 mmHgであった。Non-TCPCでは3Dを用いた下大静脈計測値は2DよりもRAPとよく相関した。RAP vs; 呼気2D-IVCD r= 0.3, P=0.02, 吸気2D-IVCD r= 0.4, P<0.01, 2D-IVCD呼吸性変動率 r= -0.2, P=0.11, 呼気3D-IVCD r= 0.47, P<0.01, 吸気3D-IVCD r= 0.62, P<0.01, 3D-IVCD呼吸性変動率 r= -0.53, P<0.01. RAP 10mmHg以上となる吸気3D-IVCDおよび呼吸性変動率のカットオフ値は 7.3mm/m2 (陽性予測値 74%, 陰性予測値 82%)および 36% (陽性予測値 77%, 陰性予測値 76%)であった。一方、TCPCでは下大静脈計測値とCVPは有意な関係を認めなかった。CVP vs; 呼気2D-IVCD r=0.34, 吸気2D-IVCD r=0.34, 2D-IVCD呼吸性変動率 r=0.10, 呼気3D-IVCD r=0.13, 吸気3D-IVCD r=0.07, 3D-IVCD呼吸性変動率 r=0.16.
【結論】TCPC以外の先天性心疾患において、下大静脈計測値と呼吸性変動はRAPとよく相関している。呼吸により移動する下大静脈を3D超音波検査を用いて正確に計測することで、より有効にRAPを推定できると考えられる。一方、TCPCでは、3D超音波検査を用いても下大静脈計測値からCVPを推測するのは困難であった。