第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション16(P16)
外科治療 1

2018年7月5日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:岡村 達(長野県立こども病院 心臓血管外科)

[P16-03] 左心低形成症候群およびその類縁疾患に対するNorwood Glenn手術の有用性

真船 亮1, 鈴木 孝典1, 中野 克俊1, 林 泰佑1, 清水 信隆1, 三崎 泰志1, 小野 博1, 金子 幸裕2, 賀藤 均1 (1.国立成育医療研究センター 循環器科, 2.国立成育医療研究センター 心臓血管外科)

キーワード:左心低形成症候群, Norwood手術, Glenn手術

【背景】左心低形成症候群(HLHS)およびその類縁疾患(variant)に対する治療方針は, 施設によって異なる。当院では, 生後早期に両側肺動脈絞扼術(bPAB)を行い, プロスタグランジン製剤で動脈管を維持し, 生後3-5ヶ月時にNorwood+Glenn手術(N+G術)を行う方針としている。【目的】HLHSおよびvariantに対する当院の治療成績を明らかにすること。【対象と方法】2011年4月から2017年12月の間に当院でHLHSまたはvariantと診断, 加療した22例を対象に後方視的に検討した。追跡期間は生後6ヶ月から6年。【結果】HLHS 11例, variant 11例(下大静脈欠損が3例)であった。男10例, 出生体重平均2602g, 全例まずbPABを行った(日齢中央値1.5)。うち17例はプロスタグランジン製剤で動脈管を維持し, N+G術を行った。手術時日齢中央値110, 手術時体重平均5093gであった。内科的に動脈管の維持が困難であったのが2例(1例は日齢22にPDA stent留置し日齢128にN+G術を施行, 1例は形態的にPDA stent留置困難のため日齢25にNorwood+RV-PA shunt手術施行)。下大静脈欠損合併3例はNorwood+TCPSを施行した。手術時日齢中央値182, 手術時平均体重6596gであった。N+G術およびNorwood+TCPS手術後の生存率(重篤な合併症を除く)91%, Glenn循環が成立しなかったのは1例(5%), Fontan到達は11例(50%), Fontan待機中8例であった。1例は平均肺動脈圧が高くGlenn循環のままで内科加療を継続している。Fontan術後の心臓カテーテル検査を施行した9例の平均肺動脈圧中央値14mmHg, PA index 平均164 mm/m2であった。【考察】HLHSおよびvariantに対するN+G手術の短期的な治療成績は良好であった。長期入院となるが, 体重増加を待ってからのN+G手術はHLHSおよびvariantに対して有効な治療選択肢である。今後長期予後の評価は行っていく必要がある。