[P17-01] 出生前に肺静脈狭窄を伴う総肺静脈還流異常症と診断し、計画的に娩出後出生当日に総肺静脈還流異常修復術を行った一例
キーワード:計画的手術, 胎児診断, 総肺静脈還流異常
【背景】肺静脈狭窄(PVO)を伴う総肺静脈還流異常症(TAPVR)は外科手術の進歩により救命率が上昇してきているが、依然治療に難渋することは少なくない。このようなhigh risk症例に対しては、手術のみでなく胎児期からより綿密な治療計画を立てることが求められている。【目的】胎児期から治療計画を立て、計画的に診断および治療を行い救命した症例について検討する。【方法】症例は在胎23週1日に胎児超音波検査でTAPVR(Ia)と診断された。垂直静脈が左肺動脈に近接する部位でΦ1.32mm、血流速度1.22m/sと高度のPVOをきたしており、出生直後より肺鬱血による重症呼吸障害を呈し当日中の開胸手術が必要となると予測された。家族へのIC後、帝王切開による計画的分娩を行うこととなった。在胎38週0日、予定帝王切開で出生。Apgar score直後8点、5分後8点、出生体重 2502gであった。PICUに入室し、挿管・各種カテーテル留置後、心臓超音波検査・CT検査を施行。出生前診断通りの所見であった。出生から約5時間後に手術室へ入室し、総肺静脈還流異常修復術を行った。【結果】術後、一時的に腹膜透析を行ったが徐々に全身状態は安定し術後8日目に閉胸し、術後46日目に抜管した。その後問題となる合併症なく経過した。【考察】本症例の経験から、胎児診断でhigh risk症例と考えられた場合、計画的に分娩・検査・手術を行うことで正確な診断・治療を迅速に行うことができ、良い結果につながったものと考えられた。また、家族とも十分に話し合いながら診療を進められたため、家族の治療に対する理解度・満足度も高かった。【結論】今回、high risk症例に対して胎児期から周産期・周術期治療計画を立て、円滑なチーム医療を進めた結果、良い経過をたどった症例を経験した。今後、さらなる経験を積み重ねていきたい。