第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

会長賞選別

ポスターセッション22(P22)
会長賞選別セッション

2018年7月5日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:赤木 禎治(岡山大学 循環器内科)

[P22-01] 新生児における臍帯血中マグネシウム濃度と高感度トロポニンIの関連

渡辺 健一, 桑原 春洋, 伊藤 裕貴, 添野 愛基, 小林 玲, 沼田 修, 田中 篤 (長岡赤十字病院 小児科)

キーワード:マグネシウム, 高感度トロポニンI, 新生児

【背景】母体に投与された硫酸マグネシウムは胎児に移行し、出生後の児に心血行動態異常を引き起こすことが知られている。高感度トロポニンIは、低値部分まで正確に測定され、急性心筋梗塞の早期診断のみならず軽度の心筋障害の検出も可能とされる。【目的】臍帯血中マグネシウム濃度(Mg)と児の心血行動態、高感度トロポニンI (hs-TnI)の関連を調べる。【方法】対象は当院NICUに入院した極低出生体重児46例。Mgが4 mg/dL未満 (L群: 35例)、4 mg/dL以上 (H群: 11例)の2群に分類し、両群間で母体への薬剤投与、在胎週数、出生体重、臍帯血カルシウム濃度 (Ca)、入院時血圧、LVDd、LVEF、hs-TnI、BNPについて比較検討した。【結果】母体への薬剤投与は、塩酸リトドリン: L群30例(88%)、H群9例 (91%)、硫酸マグネシウム: L群19例 (56%)、H群11例 (100%)であった。在胎週数、出生体重はL群:(平均±SD) 28.9±2.9週, 1074±297g、H群:29.1±2.9週, 1138±270gで差がなかった。CaはH群 (8.48±0.73 mg/dL) がL群(9.29±0.86 mg/dL, p<0.01) に比し有意に低値であった。平均血圧はH群 (31.0±5.2 mmHg) がL群 (36.2±6.0 mmHg, p<0.05) に比し有意に低値であった。hs-TnIはH群 (中央値, IQR; 46.8 pg/mL, 13.3-425.5 pg/mL) がL群 (16.3 pg/mL, 8.7-27.1 pg/mL, p<0.05) に比し有意に高値であった。LVDd、LVEF、BNPは両群間で差がなかった。hs-TnIとMgに正の相関を認めた (r=0.46, p<0.01)。BNPとhs-TnI、BNPとMgに相関はなかった。【考察】hs-TnIは、BNPとは異なる機序で新生児の高マグネシウム血症に伴う心筋障害を反映している可能性がある。母体に投与された硫酸マグネシウムは、児の高マグネシウム血症から心筋障害や血圧低下といった心血行動態の異常を引き起こす可能性が示唆された。