[P22-02] DCMモデルハムスターに対するONO1301の経口投与法の有効性の検討
Keywords:DCM, synthetic prostacyclin agonist, 再生治療
【背景】拡張型心筋症(DCM)は、心筋線維化、心収縮低下をきたす予後不良の疾患であり、新しい治療法の開発は急務である。一方ONO1301はIP受容体アゴニスト作用とTXA2合成酵素阻害作用を併せ持つ新規オキシム誘導体物質で、線維化抑制、血管新生、間葉系幹細胞遊走作用を持つことが報告されている。【目的】今回、ONO1301の経口投与によりDCMの心筋線維化は抑制され、心機能は維持されうるかを検討するためにDCMモデルハムスターを用いた実験を行った。【方法】DCMモデルハムスターとしてJ2N-k(delta-sarcoglycan deficient hamster)の4週齢を使用した。粉末餌にONO1301原末を0.01%混ぜて給餌するONO群(n=6)と粉末餌のみ給餌するC群(n=4)を比較検討した。4、8、12、16、20、24週齢時に心エコーを測定し心機能を評価した。その後、心筋組織を採取しSirius red染色で線維化病変の評価を行った。【結果】16週、20週、24週齢においてONO群でC群と比較して、LVEFが有意に高値であった(ONO vs C; 16w: 62.2±2.9 vs 52.3±3.5%, 20w: 67.8±3.1 vs 55.8±3.9%, 24w: 63.8±5.0 vs 50.9±9.9%, P<0.05)。また、心筋組織の線維化はONO群において、C群と比較し、有意に低下していた(ONO vs C = 7.8±1.7 vs 13.0±3.3%, P<0.05)。【結語】DCMモデルハムスターにおいて、ONO1301の経口投与によって心筋線維化を抑制し、心機能低下を防ぎ、DCMの進行を抑制する可能性が示唆された。