[P24-03] ベトナム・ベンチェ省における17年にわたる小児循環器医療支援活動の変遷
Keywords:海外支援, 開発途上国, 心臓病
【はじめに】われわれは日本小児科医会国際部およびNGO「ベトナムの子ども達を支援する会」の協力のもと、1999年よりベトナム、ベンチェ省において小児循環器医療支援活動を行ってきた。【支援の実際】初期(1999年-2006年)には、省内での心エコー機器がなく先天性心疾患の診断が困難な状況であった。ベンチェ省保健局の依頼により、日本より持ち込んだ心エコー機器による心臓病検診を省立病院で行った。この7年間に428名の患者を診察し、52%の患者に手術適応があると診断し、一部の患者はホーチミンの病院へ紹介した。この期間中にベンチェ省とホーチミンの専門病院との連携が構築され、心疾患の疑いのある患者はホーチミンで診断されるようになってきたため、中期(2007年-2009年)には、郡病院に出向き、現地の医師、看護師、保健所スタッフに対し心疾患のスクリーニングを主体とした活動を行った。病歴、身体所見などから心疾患を疑い、省立病院に紹介できるような教育を行った。3年間の活動で、郡病院から省立病院へ紹介されてくる先天性心疾患の患者が増加したと、保健局から報告があった。後期(2011年以降)には、ホーチミンの小児病院において新生児開心術も可能となったため、新生児重症先天性心疾患の診断に関するトレーニングを開始した。省立病院にNICUができたため、新生児医療に関する支援も加わった。新生児の症例検討、positioning、感染対策、呼吸循環管理などに対する講義や実習を行った。来年には省立病院にNICUを含む新しい小児病棟がオープン予定であり、病棟のデザインや運用に関する支援の要請もある。【結語】海外医療支援を行うにあたり、カウンターパートのニーズは経済状況や医療技術の進歩により変化していることを認識したうえで、持続可能な支援を行うことが重要である。