The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達

ポスターセッション25(P25)
術後遠隔期・合併症・発達 2

Fri. Jul 6, 2018 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:武内 崇(和歌山県立医科大学 小児科)

[P25-04] 重症Ebstein奇形に対しStarnes手術を行った症例の予後と臨床経過

北川 陽介1, 野木森 宜嗣1, 加藤 昭生1, 佐藤 一寿1, 若宮 卓也1, 小野 晋1, 金 基成1, 柳 貞光1, 上田 秀明1, 麻生 俊英2 (1.神奈川県立こども医療センター 循環器内科, 2.神奈川県立こども医療センター 心臓血管外科)

Keywords:Ebstein奇形, Starnes手術, TCPC

【背景】Starnes手術が行われるようになり、以前は新生児期や乳児期早期に亡くなっていた重症Ebstein奇形の救命率は向上した。しかしその後の臨床経過や予後は不明な点も多い。【対象・方法】2009年から2015 年までに当科でStarnes手術を行い、術後の観察期間3年以上の症例を後方視的に検討した。【結果】症例は7例(男3、女4)で全例胎児診断されていた。うち2例は一期的Starnes手術を、5例は段階的Starnes手術を行っている。Starnes手術からの観察期間は平均7.1年 (3.9-9.0年)で、死亡例はなく全例TCPCに到達した。一期的Starnes手術を行った2例の手術時期は日齢0と3ヶ月で、3ヶ月の症例はBCPSを同時に行った。段階的Starnes手術症例の初回手術(非人工心肺下に右房、右室の縫縮、主肺動脈、動脈管の結紮、BTシャント増設)の手術時期は生後平均9.6時間(3-20時間)、Starnes手術は平均4日(0-12日)であった。BCPS 到達年齢は中央値3ヶ月(1-5ヶ月)、TCPC到達年齢は 中央値1歳4ヶ月(1歳0ヶ月-3歳4ヶ月)で、当科の同時期の他のTCPC症例と比べ有意な差はなかった。血行動態は、TCPC前はPAp 9.2±2.1mmHg、 Rp 1.2±0.5 units×m2、PA index 158±52 mm2/m2、 LVEF 70.6±6.8%、TCPC 術後1年はCVP 12.5±1.5mmHg、 LVEF 61.8±7.2%、SaO2 92.7±6.0%で、CVPはやや高めの症例も見られた。不整脈は、完全房室ブロックに対してペースメーカー植込み1例、洞性徐脈の経過観察1例、AF既往1例、PSVT既往2例で現在抗不整脈薬内服症例はなく、アブレーション症例もなかった。中枢神経合併症として脳梗塞が1例あり抗てんかん薬を内服中である。現在4名が就学年齢に達しているが、全員普通学級に通学している。【結語】重症Ebstein奇形に対するStarnes手術症例のTCPC到達率は良好であり、重篤な合併症も認めなかった。新生児期、乳児期早期の不安定な血行動態を乗り切りBCPSに到達できれば、その後の中遠隔期の予後は良好である。