第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達

ポスターセッション25(P25)
術後遠隔期・合併症・発達 2

2018年7月6日(金) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:武内 崇(和歌山県立医科大学 小児科)

[P25-06] 心房中隔欠損症術後の心機能

太田 宇哉, 野村 羊示, 西原 栄起, 倉石 建治 (大垣市民病院 小児循環器新生児科)

キーワード:心房中隔欠損症, 心嚢液貯留, 右心不全

【はじめに】心房中隔欠損症(以下ASD)術後に心嚢液貯留(以下PE)を時々経験する。その原因は多種の因子が検討されている。我々はASD術後に生じる容量負荷の急激な減少が右心不全を引き起こすと考えている。これが、PEの一因かも知れない。【目的】ASD術前後の心機能を評価すること。【方法】2016年1月から2017年12月に手術を施行したASD症例を診療録、心臓カテーテル結果を用い後方視的に検討した。術前後の心臓超音波検査よりTAPSE(mm)、 LVEF(%)を、術前の心臓カテーテル検査より、RVEF(%)、%RVEDV、Qp/Qs、RVP(WoodU・m2)を評価した。【結果】検査項目を満たしたのは4例ありPEを生じた例は無かった。症例1、2歳女児 体表面積0.44m2、術前では、TAPSE18.7、LVEF63.3%、RVEF61.7%、%RVEDV209、Qp/Qs2.38、RVP1.91であった。術後ではTAPSE6.3、 LVEF67.4%であった。TAPSEは術後1ヶ月で10であった。症例2、2歳男児、体表面積0.45m2、術前では、TAPSE22.9、LVEF64.0%、RVEF57.9%、%RVEDV330、Qp/Qs3.16、RVP2.03であった。術後ではTAPSE8.0、LVEF81.5%であった。TAPSEは術後1ヶ月で10であった。症例3、3歳女児 体表面積0.5m2、術前では、TAPSE21.4、LVEF64.2%、RVEF46.9%、%RVEDV261、Qp/Qs2.28、RVP1.21であった。術後ではTAPSE5 、LVEF71.6%であった。TAPSEは術後1ヶ月で11.7であった。症例4、3歳男児、体表面積0.6m2、術前では、TAPSE20.5、LVEF67.3%、RVEF63.1%、%RVEDV144、Qp/Qs1.72、RVP1.39であった。術後ではTAPSE6.7 、LVEF67.4%であった。TAPSEは術後2ヶ月で10.9であった。【結論】幼児期に手術を要した症例が多く%RVEDVやQp/Qsの高い症例が多かった。術後の結果ではLVEFは正常であったが、TAPSEは全例で低下し、術後1ヶ月経過しても右室機能の回復は見られなかった。ASD術後の右室機能は低下しておりTAPSEの回復が遅い例ではPEに注意して観察する必要があるかも知れない。