[P26-04] 肺静脈狭窄症に対する治療介入についての検討
Keywords:肺静脈狭窄症, 治療, 予後
【背景】肺静脈狭窄症(PVO)に対して外科治療やステント治療などが行われているが、未だに予後不良である。【目的】当院で経験したPVO 2症例から、適切なPVOの治療介入について検討する。【症例1】先天性PVO、肺高血圧(PH)、Coffinsiris症候群の10ヶ月女児。PVに関しては、右下PV以外の3本は狭窄または低形成を認めていた。11ヶ月時に左下PVに対するsutureless repeirを施行。術中に肺外出血及び縦隔血腫を認め、結果的にPVOを十分に解除できなかった。術後の心臓カテーテル検査でもPHの改善は認めなかった。その後PVOの進行、PHの増悪を認め、人工呼吸管理、NO管理となった。PVの形態および全身状態から更なる手術介入は困難と考えた。1歳4ヶ月で死亡した。【症例2】総肺静脈還流異常症(TAPVC)(Ia)の2ヶ月女児。前医で日齢7に共通肺静脈腔-左房吻合を施行。徐々にPVOを認めたため、造影CT検査を施行したところ、吻合部は3.5mm程度で右PVは造影されなかった。PVOに対して、3ヶ月時にsutureless repairを施行。右PVは完全閉塞しており、末梢も細かった。術後の心臓カテーテル検査では、PVOは改善を認めた(meanPG 3mmHg)が、術後1.5ヶ月頃より呼吸状態の悪化を認めた。造影CTでは両側PVが術前より狭窄しており、PVOの再増悪と考えた。ステント治療も考慮されたが、PVの形態および全身状態、予後などを総合的に考え、積極的な治療介入は行わない方針とした。4ヶ月27日で死亡した。【考察】症例1では、PVOに対する介入を行ったが結果的に解除には至らなかった。PVに対して直接介入した場合は、それ自体がPVOが増悪のするリスクとなることがあり、下行大動脈の移動など間接的な介入も検討する必要がある。症例2では術後一時的にPVOは解除されたが、時間経過と共に再狭窄を来した。本症例では右PVが完全閉塞し末梢まで細い形態になるまで時間が経過をしていたため、吻合部の解除のみでは一時的な効果しか得られなかった。