第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

心不全・心移植

ポスターセッション36(P36)
心不全・心移植 2

2018年7月6日(金) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:小垣 滋豊(大阪急性期・総合医療センター 小児科)

[P36-02] 最近当院でLVAS装着を行った心筋症の3例 -適応、日本の移植医療の問題点の観点から-

小柳 喬幸1, 今村 知彦1, 長田 洋資1, 連 翔太1, 中野 茉莉恵1, 小島 拓朗1, 葭葉 茂樹1, 小林 俊樹1, 住友 直方1, 枡岡 歩2, 鈴木 孝明2 (1.埼玉医科大学 国際医療センター 小児心臓科, 2.埼玉医科大学 国際医療センター 小児心臓外科)

キーワード:重症心不全, 心臓移植, 補助人工心臓

【はじめに】2010年7月に改正臓器移植法が施行されて以降も依然として国内心移植数は少なく、渡航移植を目指す例も多い。また補助人工心臓のオプション自体も基本的に移植を前提とした治療であり、ハードルの高い治療法となっている。【目的】自験例を通じて小児のLVASの適応及び日本の小児心臓移植医療の問題を検討する。【対象】2016年以降当院でLVAS装着を行った3例(EXCOR2例、成人用ニプロVAD1例)。【症例1】1歳女児、左室心筋緻密化障害。INTERMACS PROFILE 2の心不全に対してEXCOR装着及び僧帽弁形成術を行い全身状態は速やかに改善。3億円超の募金を集め2018年1月渡米。【症例2】7歳女児、小学校1年時の心臓検診で心電図異常を指摘され、頻拍誘発性心筋症もしくは拡張型心筋症が疑われた。INTERMACS PROFILE 3の心不全に対しEXCORを装着し国内移植待機中。【症例3】18歳女性、Emery-Dreifuss型筋ジストロフィー。半年前より急激に心機能低下が進行し多臓器不全(INTERMACS PROFILE 1)となった。補助人工心臓、心臓移植に対する両親の強い希望があり当院へ転院された。IABPで改善乏しく体外式ニプロVADを装着し臓器障害は改善。原疾患に伴う筋力低下の進行がありBTC(bridge to candidacy)の状態にある。【考察】体格の小さい乳幼児例では国内で移植となる可能性が少なく、費用が高額でも渡航移植を選択される場合が多い。本邦における深刻なドナー不足の原因には、医療者におけるLVASや移植、脳死判定に関する知識が乏しいことがあげられる。2008年のイスタンブール宣言にあるように本来臓器移植は自国内で解決されるべき問題であり積極的な取り組みが必要である。一方レシピエント側では、血行動態が破綻し多臓器障害を生じてからの回復は難しく、早い段階で移植を見据えた高次医療機関への搬送を考慮し、LVASを装着し安定した状態で移植への橋渡しをすることが肝要である。