[P38-02] 完全房室中隔欠損症修復後の術後亜急性期の感染性心内膜炎に対し左側房室弁置換術後、stuck valveでの管理を余儀なくされた1例
キーワード:stuck valve, 完全型房室中隔欠損症, 感染性心内膜炎
【背景】stuck valveに対しては可及的速やかに再手術介入を行うことが一般的と考えられる。今回完全房室中隔欠損症修復術後の感染性心内膜炎に対し弁置換術後、白血病を来たしたためstuck valveの状態での管理を継続した稀な症例を経験したので報告する。【症例】根治術時、1歳女児、69.0cm、7.5kg【経過】他院にて36週5日、2336gで出生後C-AVSDの診断で当院搬送となる。入院後C-AVSD(Rastelli分類: A型), PH, trisomy-21の診断で二期的根治術の方針となり、2か月時に肺動脈絞扼術を施行し、1歳時にTwo-patch repairでの完全型房室中隔欠損修復術を施行した。術後心エコー所見では左側房室弁逆流はmildで推移していた。術後15日目に中心静脈カテーテル感染のため抗生剤治療を施行したが、抗生剤終了後も発熱認めるようになり抗生剤での治療を再開した。術後36日目にSpO2低下のため心エコー検査を施行したところ左側房室弁の疣贅、弁逆流の増悪を認め感染性心内膜炎(IE)と診断。IE診断後13日目に左側房室弁置換術(Medtronic AP360 M-16mm)を施行した。無事退院となったが、房室弁置換術後の3か月後の外来にてclosed stuck valveの診断となり入院し血栓溶解療法を施行したが改善はなかった。入院中に血液検査にて急性骨髄性白血病の診断となり治療方針の検討を行った。closed stuck valveであり、有意な肺高血圧を認めないことから白血病の治療を優先し5か月間の化学療法を施行した。白血病の寛解を認めたため、後日心臓カテーテル検査を施行しstuck valve残存するもLVEDP 9mmHg, PCWP 11mmHg, PAP 22mmHgという結果であった。そのため、体重増加を待ってから再介入の方針となった。【考察】stuck valveと白血病を同時期に来たし治療方針の検討に難渋した症例であったが房室弁狭窄や肺高血圧を示唆する所見なく白血病の寛解まで管理することが可能であった。今後は再介入の戦略の検討が必要と考えられる。