The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション39(P39)
外科治療 5

Fri. Jul 6, 2018 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:小谷 恭弘(岡山大学 心臓血管外科)

[P39-01] 開胸ドレナージはフォンタン手術術後の胸水遷延のリスクになり得る

正木 直樹, 松尾 諭志, 崔 禎浩 (宮城県立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:フォンタン手術, 胸水, 危険因子

背景・目的:フォンタン手術術後の胸水貯留はタンパク漏出,ドレーン留置に伴う行動制限,入院期間の延長などの悪影響を及ぼす.当院では良好なドレナージを目的として可能な限り術中に開胸しドレナージを行ってきた.開胸ドレナージが術後の胸水に及ぼす影響を含め,胸水遷延のリスク因子について解析を行った.方法:2008年8月から2017年12月までにフォンタン手術を行った連続41例を対象に後方視的に検討した.手術時月齢26ヶ月(中央値),体重10.5kg.手術後からのドレーン留置累積日数は5日であった.ドレーン留置期間を7日未満(A群,n=29),7日以上(B群,n=12)に分けて解析を行った.結果:体重,月齢,PA index,PVR,BNPといった術前因子では両群間に有意な差は認めなかった.また,術中因子に関してはグラフトサイズやfenestrationの有無は両群間に差は認めなかったが,人工心肺時間はB群で有意に長かった(137 vs 197min, p=0.047).また,B群に術中開胸ドレナージを行った症例が多い傾向であった(79 vs 100%, p=0.11).術後因子としてはB群で術翌日までの乳酸値が有意に高く(4.3 vs. 3.5mmol/l, p=0.01),また術翌日までの水分バランスが有意に高かった(+32.6 vs. +54.6ml/kg, p=0.01).術後CVPは両群間に差を認めなかった.多変量解析で人工心肺時間,術中開胸ドレナージ,術翌日までの水分バランスが胸水貯留遷延の有意なリスク因子としてあげられた(p=0.03,0.04,0.02).また,開胸ドレナージの有無で分けた場合,有りの群でドレーン留置期間が有意に長く(5 vs 3day, p=0.02), 総ドレーン量も有意に多かった(65.2 vs 24.8ml, p=0.03).結語:人工心肺時間, 術翌日までの水分管理が胸水遷延に寄与しており,早期抜管に加え術後早期の水分バランス管理が重要であると考えられた.また術中開胸ドレナージをせず必要時,術後胸腔ドレナージを追加することで胸水遷延を抑制できる可能性が示唆された.