The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション40(P40)
外科治療 6

Fri. Jul 6, 2018 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:大嶋 義博(兵庫県立こども病院 心臓血管外科)

[P40-03] Willms腫瘍再発の三尖弁嵌頓に対して腫瘍切除+下大静脈フィルター留置で救命し得た症例

中西 啓介, 川崎 志保理, 天野 篤 (順天堂大学 医学部 心臓血管外科)

Keywords:小児心臓外科治療, Willms腫瘍, 下大静脈フィルター

【現病歴】症例は7歳男児、6歳時にWillms腫瘍に対して左腎摘出術を施行し、術後化学療法を27週間施行され、外来経過観察となっていた。【経過】化学療法終了後3か月で嘔気、嘔吐、呼吸困難を主訴に当院救急外来を受診した。施行された造影CT所見では、IVCからRA内にまで進展した充実性の腫瘤性病変を認めた。心臓超音波検査では、IVCからの還流血はほとんど認めず、さらに三尖弁の通過血流量の減少と左室内腔の狭小化を認めた。腫瘍が三尖弁へ嵌入し重症三尖弁狭窄の状態であると診断した。切迫する腫瘍嵌頓を予防することを目的に、緊急開胸手術の方針となった。【手術】手術では麻酔導入時にショックバイタルを呈し緊急開胸を行い、上大静脈一本脱血、上行大動脈送血で人工心肺装置を確立した。心停止後に右房切開をすると充実性の腫瘤性病変を認め、周囲には血栓を伴っていた。中等度低体温循環停止下に右房内と下大静脈内腫瘍を可及的に切除した。肝静脈の下大静脈分岐部に下大静脈フィルターを留置し手術を終了としてきた。術後は下大静脈に挿入した静脈カテーテルで持続的に透析管理を行い血行動態は安定した。第1病日に抜管し、その後の経過も安定していたため第5病日に一般病棟へ帰室し、化学療法が再開となった。術後の造影CTでは右房内に腫瘍は認めず、下大静脈フィルター以下の下大静脈に残存腫瘍が存在していた。【まとめ】Willms腫瘍は下大静脈血栓を形成することは報告されているが、今回のような腫瘍進展によるIVC閉塞及び三尖弁への嵌頓を起こした症例は稀である。内科医による正確な診断・血行動態評価と外科医による適切な治療によって救命し得た一例として文献的考察を加えて報告する。