第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション40(P40)
外科治療 6

2018年7月6日(金) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:大嶋 義博(兵庫県立こども病院 心臓血管外科)

[P40-04] 孤立性総肺静脈還流異常症の外科治療における低年齢の影響

小林 真理子, 麻生 俊英, 武田 裕子, 太田 教隆, 大中臣 康子 (神奈川県立こども医療センター 心臓血管外科)

キーワード:TAPVD, 胎児診断, 肺静脈狭窄

【背景】孤立性総肺静脈還流異常症(TAPVD)は胎児心エコー技術の進歩した現在でも胎児診断率の最も低い疾患の一つである。一方、TAPVDの外科治療において低年齢は死亡や再手術のリスク因子と報告されている。低年齢がリスク因子であるならば、最も若い患者である生後24時間以内の新生児の成績がもっとも不良であると推測しその実際について明らかにすることを目的に後方視的研究をおこなった。【患者・方法】2004年より2016年までに根治術をおこなった孤立性総肺静脈還流異常症60例。単心室、Co/Aoなど重症病変合併例を除外し、軽症疾患(ASD, PDA, VSD)の合併例は含めた。年齢により2群に分けた。生後24時間以内(Y群)n=20、生後2日以上のコントロール群(C群)n=40。年齢は、Y群;中央値18時間(2~24時間)、C群29日(2~204日)、体重:2.6±0.4kg、3.6±1.0kg。術前重症肺静脈狭窄(PVO)はY群では全例(20/20=100%)、C群では10例(10/40=25%)。手術のアプローチは年齢に関係なく上心臓型(30)で側方アプローチ(25/30)、下心臓型(18)で後方アプローチ(14/18)を主に選択した。【結果】術前状態はY群が不良で全例PVOを合併し20例中18例が気管内挿管され、FiO2 100%でもPO2は9.7~32.6mmHgと高度の低酸素血症を呈した。胎児診断はY群の6例(6/20=30%)のみであったがY群の他の症例と比べると胎児診断例の術前病態は良好な傾向があった。手術死亡はC群の1例のみで原因はPH crisis。遠隔死がY群の2例で原因は両側乳び胸(術後8か月)とPVOの再燃(術後11カ月)であった。術後のPVOはY群が6例(30%)、C群が2例(5%)でY群が有意に高頻度であった(p<0.01)。【結語】低酸素血症を主体とした高度の呼吸不全を呈した生後24時間以内の症例は、重症であったが救命できた。しかし、術後PVOの頻度が高く問題点として挙げられる。一方、年長例では術後PVOの頻度は従来の報告より少なかった。