[P42-01] 小児ブルガダ症候群の発熱誘発心室頻拍に対するキニジンの予防効果
キーワード:Brugada, VT, quinidine
【はじめに】小児Brugada症候群(BrS)は発熱によりVTが誘発される。自験例3例にキニジン療法を行ない、 発熱誘発VTの予防効果について検討した。【症例1】女性、診断時5か月、現在11歳11か月、VSD術後、SCN5A変異:p.Gly1743Arg、3歳時発熱誘発VTになりキニジン開始、現在投与量14.5mg/kg日、トラフ血中濃度0.5-1.8mcg/ml。【症例2】男子、診断時5歳4か月、現在14歳6か月。症例1の兄で遺伝子変異同じ、発熱でType1波形顕著化・RR不整となる(症例1の発熱誘発VT出現時と似る)ため、8歳からキニジン開始、現在投与量13.7mg/kg日、トラフ血中濃度0.5-1.1mcg/ml。【症例3】女子、6か月時心室頻拍で緊急入院、有熱でVT頻回、急性心筋炎を考え治療した。1歳2か月発熱時Type1波形を認めBrS診断、SCN5A変異:p.Thr290fs。11歳11か月時PIL負荷でVT出現しキニジン開始、現在14歳11か月、キニジン投与量15.6mg/kg日、トラフ血中濃度1.0-1.8mcg/ml。【キニジンの効果】症例1、2、3それぞれV1誘導のType1の有無+-は、キニジン無し発熱無し(+)(+)(-)、キニジン無し発熱あり(++)(++)(+)[(++)著明なType1とRR不整を伴う]、キニジンあり発熱無し(-)(±)(-)、キニジンあり発熱無し(+)(+)(-)となり、いずれも心電図所見が改善した。かつ発熱誘発VTは予防されており、キニジンの効果を認めた。3例ともキニジン投与量15mg/kg日 前後(3分割投与)、トラフ血中濃度1 mcg/ml 前後。補助療法として、発熱時に積極的解熱と注意深い観察を行い、症例1、2にはHome AEDを用意している。【考察・結語】BrSに対するキニジン療法は発熱誘発VTを予防する点で有効である。発熱時心電図変化を注意深く観察することが治療効果判定において有用であった。