[P42-03] 房室結節回帰性頻拍と心拍変動解析
キーワード:房室結節回帰性頻拍, 房室結節二重伝導路, 心拍変動解析
【背景】房室結節回帰性頻拍(AVNRT)は低年齢児には少なく成長するに伴い増加していく。その基質となる房室結節二重伝導路は健常例にも認められるが、AVNRTとして発症するものとの差異は定かではない。【目的】AVNRT発症に関する因子として自律神経の関連を検討すること。【方法】対象は2010-2017年にかけて当院でアブレーション治療(RFCA)を行ったAVNRT患者のうちHolter心電図を用いた心拍変動(HRV)解析を行った 12例(A群)。対照群としてWPW症候群に対してRFCAを行った12例(W群)で同様の解析を行い比較した。不整脈発生因子として、His束記録部位-冠静脈洞間の距離(HB-CS)、速伝導路(FP)/遅伝導路(SP)の有効不応期(ERP)、異所性心房調律の有無そしてHRVの結果を比較した。【結果】平均年齢はA群15歳(±3.3)、W群12.8歳(±2.3;p=0.13)。HRVでは心臓迷走神経活動の指標である高周波数成分(HF)が12-18時の時間帯で321.7ms2(±451.7) vs 933.4ms2(±1083.6;p=0.024)、18-24時で536.8ms2(±373.4) vs 1364.3ms2(±1164.5;p=0.015)であった。HB-CS 28.4mm(±6.3) vs 30.5mm(±8.7;p=0.885), A群のERPはFP 397ms(±104.8), SP 272.9ms(±95.3)、全例で異所性心房調律は認めなかた。【考察・結論】W群と比較しA群では有意に12-24時の間でHFが低値を示し、心臓迷走神経活動の低下とAVNRT発症の関与が示唆された。自律神経の変動が房室間の伝導性を変化することがその要因と推定される。今後さらなる自律神経の関与についての検討を重ねたい。