[P42-04] 塩酸イソプロテレノールの増量、頻回内服によって新生児期のペースメーカー植え込みを回避できた新生児ループスの1例
キーワード:先天性完全房室ブロック, 塩酸イソプロテレノール, 新生児ループス
【背景】高度な徐脈を伴う先天性完全房室ブロック(CCAVB)ではペースメーカー(PM)植え込みが考慮されるが、低体重児への恒久的PM植え込みは困難である。塩酸イソプロテレノール(ISP)の用量および服薬回数を増加することで、新生児期のPM植え込みを回避し、外来で体重増加を図っている症例を経験した。【症例】胎児期から徐脈を指摘されていた。在胎38週3日、帝王切開で出生した。出生体重は2437gで出生時の心拍数は58/分、心胸郭比は0.60であった。徐脈の持続による心不全の顕在化を危惧し、ISP 0.05μg/kg/分の持続静注を開始した。反応は良好で心拍数は70から90/分まで増加した。日齢1にISP 1.0mg/kg/日・分4で内服を併用開始した。内服量を2.0mg/kg/日・分4まで増量し、ISP持続静注を漸減・中止したところ、心拍数は60以下に低下したため持続静注を再開した。その後、内服量を10mg/kg/日まで増量し、内服回数を分8回に増やした。またロートエキスの内服も併用したところ心拍数は70から90/分で低下なく、日齢16にISP持続静注を離脱でき、日齢31に退院した。【考察】小児においてβ刺激薬であるISPは用量-反応関係が一定ではなく、内服量の上限は定められていない。自験例では10mg/kg/日まで増量したが有害事象はなく、低K血症などに注意しつつ安全に増量可能と考えられる。また分4の内服で心拍数を維持できず、哺乳回数に合わせ分8に変更したところ心拍数を維持しえたが、徐放製剤を粉砕内服することが薬剤の半減期に影響を与えている可能性も考えられた。【結論】CCAVB児に対し少量のISPで効果がない場合も、内服量や内服回数を増加することで新生児期のPM植え込みを回避できる可能性がある。