[P50-04] 重症肺高血圧による動脈管右左短絡が持続したDown症候群の1剖検例
Keywords:Down症候群, 動脈管右左短絡, 重症肺高血圧症
【緒言】Down症候群には多彩な肺高血圧(PH)増悪因子が認められ, 特に呼吸器系の低形成, 生理的肺PHの遷延や, 肺血流増多による肺血管リモデリングの早期進展が大きな因子と考えられる. そのため検査と治療介入時期の適切な判断が難しく, 予後決定の重要因子となる. 特に早産低出生体重児では, 新生児遷延性PHや未熟肺に対する長期間の呼吸管理が必要となり, 新生児慢性肺疾患の惹起とともに上記の適切な判断を更に困難なものとしている.
【症例】 0歳6ヶ月 女児 【現病歴】 在胎29週2日, 胎児機能不全, 胎児水腫のため前医にて緊急帝王切開で出生した.体重1038g, Apgar Score1分値3点, 5分値7点. Down症候群, 心室中隔欠損症(VSD), 動脈管開存症(PDA), 新生児慢性肺疾患(CLD)を出生後指摘された. 前医NICUで, 新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)に対し一酸化窒素(NO)吸入療法を施行された. 呼吸状態改善に伴い日齢51の抜管後は経鼻酸素管理下にあったが, 日齢179頃より急激な酸素化の増悪, 啼泣時の肺高血圧クライシスが頻発した. 日齢183にEpoprostenol持続静注を開始後は改善を認めたが, 管理困難のため日齢185当院へ転院した. 日齢187, 肺出血に引き続き呼吸窮迫症候群(ARDS)となり, 肺高血圧が増悪したためEpoprostenolに加えNO吸入療法を再開した. また日齢188にsildenafilの経管投与を開始し, 日齢191筋弛緩薬投与を行うまで継続した.肺血管拡張療法の強化以降は、治療に反応し一時的な改善を認めたが, 次第に治療反応性に乏しくなり 日齢192に死亡を確認した.
【考察】剖検病理の暫定結果では肺小動脈中膜肥厚とARDS様所見の指摘はあったが, 最終の詳細な結果を待って死亡に至った病態や治療介入時期に関して考察したい. 早産低体重で出生し, 先天性心疾患を合併したDown症候群の治療戦略決定には, 新生児専門医と小児循環器専門医の緊密な連携による, 治療介入時期の適切な判断が最も重要であると考えられた.
【症例】 0歳6ヶ月 女児 【現病歴】 在胎29週2日, 胎児機能不全, 胎児水腫のため前医にて緊急帝王切開で出生した.体重1038g, Apgar Score1分値3点, 5分値7点. Down症候群, 心室中隔欠損症(VSD), 動脈管開存症(PDA), 新生児慢性肺疾患(CLD)を出生後指摘された. 前医NICUで, 新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)に対し一酸化窒素(NO)吸入療法を施行された. 呼吸状態改善に伴い日齢51の抜管後は経鼻酸素管理下にあったが, 日齢179頃より急激な酸素化の増悪, 啼泣時の肺高血圧クライシスが頻発した. 日齢183にEpoprostenol持続静注を開始後は改善を認めたが, 管理困難のため日齢185当院へ転院した. 日齢187, 肺出血に引き続き呼吸窮迫症候群(ARDS)となり, 肺高血圧が増悪したためEpoprostenolに加えNO吸入療法を再開した. また日齢188にsildenafilの経管投与を開始し, 日齢191筋弛緩薬投与を行うまで継続した.肺血管拡張療法の強化以降は、治療に反応し一時的な改善を認めたが, 次第に治療反応性に乏しくなり 日齢192に死亡を確認した.
【考察】剖検病理の暫定結果では肺小動脈中膜肥厚とARDS様所見の指摘はあったが, 最終の詳細な結果を待って死亡に至った病態や治療介入時期に関して考察したい. 早産低体重で出生し, 先天性心疾患を合併したDown症候群の治療戦略決定には, 新生児専門医と小児循環器専門医の緊密な連携による, 治療介入時期の適切な判断が最も重要であると考えられた.