[P53-01] 川崎病と全身型若年性特発性関節炎の合併が疑われた1歳男児例
Keywords:川崎病, 全身型若年性特発性関節炎, サイトカインプロファイル
【背景】川崎病では全身型若年性特発性関節炎(s-JIA)と共通する臨床像があり、時に鑑別を要する 。【症例】1歳11か月男児。咳嗽、鼻汁、発熱があり、第4病日に溶連菌感染症の診断で前医に入院した。第5病日に頚部リンパ節腫脹と発疹が出現し、第6病日に四肢末端の浮腫が出現し、川崎病として第7病日に免疫グロブリン(IVIG) 2g/kgの投与が行われた。IVIG投与中は解熱したが再上昇を認め、IVIG再投与でも解熱せず、第11病日に当科へ搬送された。入院時に眼球結膜充血を認め、川崎病の6症状を満たした。白血球数32700/μl、CRP12.8mg/dl、心嚢液と胸腹水を少量認めたが、冠動脈拡大は認めなかった。血漿交換療法を行ったが解熱せず、血漿交換5回後にウリナスタチン併用下にIVIGを投与した。発熱以外の症状は改善したが解熱せず、シクロスポリンの投与でも解熱は得られなかった。疾患鑑別のため金沢大学に依頼しサイトカインプロファイルを検討したところ、病初期からIL-6とIL-18が高値であり、経過とともにIL-18は上昇しIL-6は低下していた。関節炎症状はなくs-JIAの診断には至らなかったが、s-JIAの治療としてステロイドと抗IL-6受容体抗体を投与し寛解を得た。【考察】川崎病ではIL-6が上昇、s-JIAではIL-6とIL-18の両方が上昇すると報告されている。本症例では病初期からIL-6とIL-18が高値であり、川崎病では通常認めないプロファイルであったが、s-JIAとしては病初期のIL-6は高値であった。症状とサイトカインの動向から、いずれか単独の発症では説明し難く、本症例は川崎病とs-JIAの病態が合併したものと考えている。【結語】難治例の川崎病では、s-JIAの否定や合併の検討をする必要があり、その際にサイトカインプロファイル動向は有用である。