[P53-03] 過換気症候群を合併した冠攣縮性狭心症の14歳女児例
キーワード:冠攣縮性狭心症, 過換気症候群, 虚血性心疾患
【背景】小児領域で虚血性心疾患の罹患率は成人に比して低く報告例も少ない。今回過換気症候群を伴う冠攣縮性狭心症と診断した女児例を経験したため文献的考察を加えて報告する。【症例】14歳女児、特記すべき既往歴はなく、家族歴として父親が20歳ごろに異型狭心症と診断され硝酸薬を処方されたことがある。初診の1か月前から10分程度の胸痛を自覚し始めた。近医小児科を受診し胸部X線、心電図、血液検査を施行されたが異常を指摘されず、胃粘膜保護剤などを処方され経過をみられていた。しかし胸部症状が持続し1週間後に当院小児科を紹介受診した。その後も救急外来を胸部症状で何度か受診したが原因がはっきりせず小児循環器外来を紹介受診した。心臓超音波検査、運動負荷試験や血液検査では異常を認めず、ホルター心電図でWenckebach型2度房室ブロックを認めた。その後も胸部症状が続き、過換気症候群や意識レベルの低下を伴うこともあった。再度ホルター心電図を施行したところ胸痛の被検者イベント時にST上昇を認めた。冠動脈CTでは冠動脈に狭窄病変はなく、冠攣縮性狭心症が考えられたので硝酸薬を投与したところ胸部症状が劇的に改善した。【考察】冠攣縮性狭心症は一般的に予後良好であるとされるが、中には心筋梗塞や致死性不整脈などを引き起こして突然死の原因となったり、治療に抵抗性の難治例もある。心電図でST変化が確認される頻度は20~30%と低く、小児領域では症例数が少ないために日常診療で経験する機会が少ない。それ故見逃されている症例があると考えられる。【結語】過換気症候群を伴う冠攣縮性狭心症の女児例を経験した。小児領域では稀な疾患であるが、その診断と治療について熟知していく必要がある。