[P54-02] m-BT shunt、RV-PA shuntに対するballoon dilationによるdeclippingの検討
キーワード:declipping, BT shunt, RV-PA shunt
【背景】m-BT shunt、RV-PA shunt術の直後は肺血流過多による心不全を回避しなければならないが、体重増加の見込まれる遠隔期まである程度の酸素飽和度を維持する必要がある。術後早期の肺血流をコントロールする手段として、人工血管に対するclippingは有効な手段のひとつである。【目的】clippingを行った人工血管に対するballoon dilationによるdeclippingの効果と問題点を検討すること。【方法】2013年11月から2017年2月にm-BT shunt、RV-PA shuntの手術時にclippingを行った9例のうちballoon dilationによるdeclipping行った7例の臨床像を後方視的に検討した。【結果】基礎疾患はHLHS類縁疾患3、TGA(III)2、PA/ VSD/MAPCA1、TOF1で、m-BT shunt4、RV-PA shunt3であった。Declipping施行時の平均月齢は11±9ヵ月(中央値7.5)、平均体重6.8±2.2kg、シャント手術後declippingまでの期間は平均12.3±5.7 ヵ月であった。使用バルーンはSterling、Mustang, Curved Goku 、16~24atmで全例waistは消失した。いずれも酸素飽和度の低下を理由にdeclippingが計画され、経皮的酸素飽和度は平均7±4%(76.4±4.3%→83.4±7.1%)上昇した。次期手術はPA/VSD/MAPCA(declip後57日)、TOF(29日)の2例が心内修復術、残り5例はBT shunt追加であった。BTシャント追加術までの期間は1~16ヵ月(中央値3.1)で、カテーテルによる再評価を行った4例中3例で再狭窄を認めた。うち1例はdeclippingの6ヵ月後にステントを留置、その10ヵ月後にBTシャント追加を含む予定手術を行っていた。合併症は麻酔導入時の低酸素血症からの徐脈が1例、右室からのアプローチ時の一時的な房室ブロック1例であった。【考察】clippingを行ったm-BT shunt, RV-PA shuntにおいてballoon dilationにより有効なdeclippingが可能であった。しかしdeclipping後に再狭窄をきたす例もみられ、十分な血流を長期間維持するためにはステント留置を考慮すべきと考えられた。