第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション56(P56)
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2018年7月7日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:高橋 健(順天堂大学 小児科学講座)

[P56-01] VSDの経過観察時にシャント流速だけで肺高血圧の推定は十分なのか?

桑原 義典, 本村 秀樹 (長崎医療センター 小児科)

キーワード:心室中隔欠損症, 肺高血圧, 心エコー

【背景】VSDを経過観察する上で、肺高血圧の評価は必須である。心エコーではVSDシャントの流速から右室圧の推定が可能である。しかし、シャント流速から推定される右室圧と心臓カテーテル検査で実測した右室圧に解離がある症例を時に経験する。【目的】シャント流速をはじめとした心エコー検査での右室圧測定法と心臓カテーテル検査での右室圧との関連を検討し、心臓カテーテル検査を行うべき基準について考えた。【方法】当院で2014年10月~2017年12月に心臓カテーテル検査を行ったVSD症例を対象とした。他にmajorな心奇形を合併した症例は除外した。シャント流速の計測が難しいため、VSD孔径2mm未満の症例も除外した。シャント流速および心室中隔の湾曲指標(c/b比)と心臓カテーテル検査での右室圧との相関、主肺動脈血流の加速時間/駆出時間比(AcT/ET)と肺動脈収縮期圧との相関、%LVDd(体表面積から推定される正常値との比)とQp/Qsの相関を求めた。【結果】対象は17例で、平均年齢は4.8歳(1~13歳)。当院では1歳未満で手術が必要と考えられた症例は他施設に紹介しており、今回の検討には含まれない。シャント流速と心臓カテーテル検査での右室圧との相関係数r=-0.67であった。AcT/ET、c/b比との相関係数r=-0.69、-0.76であった。%LVDdとQp/Qsの相関係数r=0.73であった。【考察】今回比べた指標のうち、最も相関が強かったのは心室中隔の湾曲指標(c/b比)だが、いずれも単独では見逃しが生じ得る。シャント流速だけで評価するならば、4.7m/s以上あれば肺高血圧でない確率は100%となる。%LVDdはQp/Qsと強い相関があり、肺高血圧がなければ120% of N以上は概ねQp/Qs1.5以上であり精査が必要と思われた。【結論】一つの指標に頼るのではなく、様々な情報から総合的に評価する必要がある。