第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション56(P56)
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2018年7月7日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:高橋 健(順天堂大学 小児科学講座)

[P56-03] 大血管転換術後遠隔期におけるMRIの有用性

吉沢 雅史1, 戸田 孝子1, 河野 洋介1, 喜瀬 広亮1, 杉田 完爾1, 鈴木 淳子2 (1.山梨大学 医学部 小児科, 2.八重洲クリニック)

キーワード:Arterial switch operation, MRI, 術後遠隔期

【背景】
完全大血管転位症(TGA)の大血管転換術(arterial switch operation; ASO)術後遠隔期には肺動脈狭窄、大動脈拡張や大動脈弁閉鎖不全、冠動脈病変に伴う心筋虚血、突然死などが問題となる。しかしフォローアップにおける確立した方法はない。近年、種々の心疾患に対する心臓MRI検査(CMR)の有用性が報告されている。
【目的】
ASO術後におけるCMRの有用性を明らかにすること。
【方法】
対象は、2016年4月から2017年12月に八重洲クリニックおいてCMRを施行されたASO術後遠隔期の4症例(男女比2:2、撮影時年齢 13歳-15歳)。プロトコールはwhole heartによる形態評価、Cine法による心機能評価、PC法による血流評価を基本に、perfusion(ATP負荷および安静時)による心筋虚血の評価とLGEによる心筋梗塞巣の評価を行った。装置はPhilips社Ingenia 1.5Tを使用した。
【結果】
全症例で冠動脈起始部~末梢の走行が確認でき、冠動脈起始部の狭窄は認めなかった。胸痛を認めた1症例を含め、Perfusion defectやLGE陽性例はなかった。右室流出路から左右肺動脈にかけて全例で鮮明に描出可能であり、1例で左右肺動脈分岐部狭窄が認められた。分岐部狭窄症例の左右肺血流比をPC法で測定したところ1:1であった。大動脈拡張や大動脈弁閉鎖不全は見られなかった。
【考察】
4症例とも十分な形態評価に加え、心筋虚血・梗塞の評価、左右肺血流比を含めた機能評価が可能であった。低頻度ながら突然死の原因となり得る術後遠隔期の心筋虚血も含め、被曝なく低侵襲で行えるCMRはASO術後遠隔期のスクリーニングに有用と考られた。
【結語】
CMRはASO術後遠隔期の形態評価と機能評価を低侵襲に同時評価することが可能である有用なモダリティーである。