[P57-02] 左室容量負荷に伴う機能的僧帽弁閉鎖不全を合併した乳幼児期心室中隔欠損における左室および僧帽弁の形態的特徴
Keywords:心室収穫欠損, 機能的僧帽弁閉鎖不全, 僧帽弁尖長
【背景】VSDに合併した機能的僧帽弁閉鎖不全(fMR)がVSD閉鎖後に改善することをしばしば経験する.VSDによる左室容量負荷との関連が示唆されるが,肺体血流量比(Qp/Qs)が同等でもfMR合併の有無はわかれ,その差異については不明な点が多い.
【目的】VSDに合併するfMRの機序を解明する.
【方法】2011-2017年に根治したVSD138例.僧帽弁の器質的異常,染色体異常,僧帽弁形成術例は除外.術前に中等度以上のfMRを認めた14例(M群)と認めなかった124例(N群)に分類し,N群のうち年齢・体格・Qp/QsをM群とマッチさせた42例をNm群とした.後方視的に心臓カテーテ検査結果および心エコー所見を参照.臨床的特徴,Qp/Qs,僧帽弁のtenting height(TH)/area(TA),弁尖長,乳頭筋間距離(IPMD),sphericity index(SI)[=四腔断面左室長径/短径],左室流出路/流入路角度(LV角),左室容積,EFをNm群とM群で比較.M群では,VSD閉鎖後にfMRが微量以下まで改善した例で術前後のデータも比較した.
【結果】fMRは全てA2-3からの後方jet.N群と比較してM群では,女児(N:36%,M:86%,p<0.01)が有意に多く,低年齢だった(N:0.4歳[0.3-1.3](中央値[範囲]),M:0.8[0.1-9.9],p<0.01).Nm群(年齢・体格・Qp/QsをM群とマッチさせた42例)とM群(14例)の比較では,M群でSI(Nm: 1.6[1.4-2.2](中央値[範囲]),M:1.4[1.3-1.6],p<0.01)が有意に小さく,弁尖が短かった(前尖;Nm:61mm/m2[50-83],M:56[43-70],p=0.03,後尖;Nm:32[19-58],M:24[15-30],p<0.01).一方,IPMD(Nm:59[42-76],M:74[59-91],p<0.01)は長くTA(p<0.01)が大きかった.左室長径(p=0.2)やEF(p=0.1)に差はなかった.術後6か月以上経過したM群12例全てでfMRは微量以下へ改善しSI(術前:1.4[1.3-1.6],術後:1.6[1.5-1.8],p<0.01)は上昇した.
【結語】左室容量負荷に伴う左室の短軸方向への拡大やIPMDの拡大に加え,短い僧帽弁尖長がVSDに合併するfMRの機序と考えられた.
【目的】VSDに合併するfMRの機序を解明する.
【方法】2011-2017年に根治したVSD138例.僧帽弁の器質的異常,染色体異常,僧帽弁形成術例は除外.術前に中等度以上のfMRを認めた14例(M群)と認めなかった124例(N群)に分類し,N群のうち年齢・体格・Qp/QsをM群とマッチさせた42例をNm群とした.後方視的に心臓カテーテ検査結果および心エコー所見を参照.臨床的特徴,Qp/Qs,僧帽弁のtenting height(TH)/area(TA),弁尖長,乳頭筋間距離(IPMD),sphericity index(SI)[=四腔断面左室長径/短径],左室流出路/流入路角度(LV角),左室容積,EFをNm群とM群で比較.M群では,VSD閉鎖後にfMRが微量以下まで改善した例で術前後のデータも比較した.
【結果】fMRは全てA2-3からの後方jet.N群と比較してM群では,女児(N:36%,M:86%,p<0.01)が有意に多く,低年齢だった(N:0.4歳[0.3-1.3](中央値[範囲]),M:0.8[0.1-9.9],p<0.01).Nm群(年齢・体格・Qp/QsをM群とマッチさせた42例)とM群(14例)の比較では,M群でSI(Nm: 1.6[1.4-2.2](中央値[範囲]),M:1.4[1.3-1.6],p<0.01)が有意に小さく,弁尖が短かった(前尖;Nm:61mm/m2[50-83],M:56[43-70],p=0.03,後尖;Nm:32[19-58],M:24[15-30],p<0.01).一方,IPMD(Nm:59[42-76],M:74[59-91],p<0.01)は長くTA(p<0.01)が大きかった.左室長径(p=0.2)やEF(p=0.1)に差はなかった.術後6か月以上経過したM群12例全てでfMRは微量以下へ改善しSI(術前:1.4[1.3-1.6],術後:1.6[1.5-1.8],p<0.01)は上昇した.
【結語】左室容量負荷に伴う左室の短軸方向への拡大やIPMDの拡大に加え,短い僧帽弁尖長がVSDに合併するfMRの機序と考えられた.