[P57-03] 満期正常新生児における動脈管閉鎖後の左房容積
キーワード:新生児, 左房容積, 性差
【目的】早期新生児期における左房容積(left atrial volume: LAV)は、動脈管(ductus arteriosus: DA)や卵円孔を介するシャント、生理的肺高血圧などの変動要素が数多く存在する。このためこの時期における左房容積は測定条件や時点により大きく左右されると考えられる。今回動脈管閉鎖後24時間以内の左房容積を求めた。【対象】正期産で生まれ、基礎疾患および先天性心疾患のみられない新生児165例である。このうち在胎週数相当の体重である145例[男児79例、女児66例、在胎週数39.1±1.2週(平均±標準偏差、以下同じ)、出生体重2981±301g、出生身長48.2±1.9cm]を対象とした。【方法】超音波診断装置Epiq7を用い、出生翌日より連日検査を行い、DAの閉鎖を初めて確認した時点でLAVを計測した。通常の四腔断面にて、収縮末期における左房内腔を用手的にトレースした。容積はArea Length法により求めた。測定時齢は、46.1±23.7時間であった。身体指標としては、体表面積(Haycock法) と体重(kg)を用いた。【結果】全体の平均と標準偏差は、6.26±0.74 mL/m2、0.439±0.049 mL/kgであった。男児では、それぞれ6.38±0.74 mL/m2、0.446±0.049 mL/kgであり、女児では、それぞれ6.12±0.72 mL/m2、0.432±0.048 mL/kgであった。【解析】有意な性差(男児>女児)が認められた。(p=0.038)【考察】早期新生児期におけるLAVを測定した。これまで我々は、新生児や小児期における左室拡張末期径、左室容積、駆出量などにおける性差を報告してきたが、早期新生児期におけるLAVにおいても同様に性差があることがわかった。