[P59-02] 動脈管開存症に対する外科治療症例における背景の変化
キーワード:動脈管, 外科治療, 血管内治療
【背景】薬剤や人工呼吸器等における科学技術の進歩により、観血的治療を要する動脈管開存症の対象はより繊細な手技を要する患児が増加し、また血管内治療の技術進歩や適応拡大も伴い、外科治療の対象は病態的・解剖学的にリスクの高い症例にシフトしていると推測される。【目的】動脈管開存症に対する外科手術症例の病態的背景の変化を検討する。【方法】1991年4月~2017年12月に当院で施行した、動脈管開存症に対する単独外科治療もしくは血管内治療を行った連続82例を対象とした。臨床データを診療録から抽出し、1)外科治療-前期群(1991~2006年:23例)と後期群(2007~2017年:26例)、2)外科治療群(49例)と血管内治療群(33例)、の各々2群に分け、後方視的に比較検討した。【結果】外科治療は、全例左側開胸アプローチで施行。手術介入時期は、前期群(乳児16例、幼児7例)、後期群(新生児19例、乳児5例、幼児2例)であった。併存疾患は、前期群2例(呼吸窮迫症候群2例)、後期群12例(呼吸窮迫症候群9例、壊死性腸炎・消化管穿孔4例、気管支肺異形成症1例)。染色体異常は、前期群4例(トリソミー21;4例)、後期群6例(トリソミー21;3例、トリソミー18;2例、4p欠失症候群;1例)であった。術前因子として、在胎週数・出生時体重・手術時体重・術前人工呼吸器管理・血清BUN・Cr・TP・Alb値、術後因子として術後在院日数が、後期群で有意に不良であった。また外科治療群と血管内治療群間の比較においても同様に、在胎週数・出生時体重・手術時体重・術前人工呼吸器管理・血清BUN・Cr・TP・Alb値、術後在院日数が、外科治療群で有意に不良であった。【結語】血管内治療を含めた科学技術の進歩により、動脈管開存症に対する外科治療の対象は、病態的リスクの高い症例にシフトしている。