第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

電気生理学・不整脈

ポスターセッション63(P63)
電気生理学・不整脈 6

2018年7月7日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:吉田 葉子(大阪市立総合医療センター 小児不整脈科)

[P63-01] 胎児期からの洞性徐脈がみられ、生後に上室性頻拍を伴うWPW症候群および肥大型心筋症様変化を来たした1例

荒井 篤1, 伊藤 由作1, 大岩 香梨1, 鍋山 千恵1, 加藤 健太郎1, 本倉 浩嗣1, 伊藤 由依1, 福山 緑2, 坂口 平馬2, 渡辺 健1 (1.公益財団法人田附興風会医学研究所 北野病院小児科, 2.国立循環器病研究センター小児循環器科)

キーワード:胎児徐脈, 上室性頻拍, WPW症候群

母体情報:25歳、初産。内服なし。SS-A抗体、SS-B抗体陰性。心電図異常なし。家族歴:なし。経過:自然妊娠。妊娠20週よりFHR=110bpmの徐脈を認めた。構造異常なく、発育は良好で経過観察。妊娠39週にFHR=100bpm、妊娠40週にFHR=90bpmと徐脈の進行を認め当院へ母体搬送。当院胎児心エコーでFHR=100bpm、房室ブロックはなく洞性徐脈と判断。大血管・心構造は正常。心不全なし。妊娠40週3日に誘発経膣分娩で女児を娩出。出生体重3754g(+2.1SD)、Apgar score 8/9点で出生。生後1分のHR=130-140bpm、サポートなく胎外環境に適応。心エコーで大血管・心構造異常なく、左室は壁肥厚の印象があり拡張障害を認めた。心電図で洞性徐脈(HR=101bpm)、広範囲にデルタ波、V1-3誘導にST低下を認めた。NICU入室後モニター上ベースがHR=80台で最低68bpmまで低下する洞性徐脈を認めたが、WQ=100ml/kg/dayの水分管理で尿量低下なく活気は維持。日齢2にHR=250bpmが30-40秒持続し自然停止する上室性頻拍を2回認めた。徐脈を認める頻拍発作の治療はPMI可能な施設での診療が有利と考え、日齢3に国立循環器病研究センターに転院。転院後もHR=240bpm以上の頻拍発作を認めATP0.6mg急速静注で停止(以降の発作は自然停止)、その後もHR=250bpm以上の頻拍発作を認めたためメトプロロール3mgから開始、5mg、7mgと増量し、頻拍発作は計4回認めたのみで退院前に再発なく日齢31に自宅退院となった。なお転院後に心筋は有意に厚くなり肥大型心筋症様の形態となっている。このためPRKAG2遺伝子の異常により洞性徐脈、肥大型心筋症様変化、WPW症候群、頻拍発作を一元的に説明可能であることから現在遺伝子検査を提出中である。