[P63-03] 幼児期より治療介入したAndersen-Tawil症候群の家族例
キーワード:Andersen-Tawil症候群, フレカイニド, KCNJ2遺伝子
【背景】Andersen-Tawil症候群(ATS)は、U波を伴う心室不整脈、周期性四肢麻痺、特徴的な外表奇形を三徴とし、KCNJ2遺伝子変異により内向き整流Kチャネルの機能障害を生じる稀な遺伝性QT延長症候群(LQT7)である。近年、心室不整脈に対するフレカイニドの有効性が報告されている。今回、幼児期に各種薬物効果を踏まえてフレカイニドによる治療介入が著効した症例を経験したので報告する。【症例】5歳、男児。母が幼児期より失神を伴う心室頻拍、周期性四肢麻痺を繰り返し、遺伝子診断(KCNJ2のミスセンス変異:R218W)でATSと診断。児は出生時より定期心検診が行われ、無症状ながら5歳時に初めて多源性心室期外収縮・非持続性心室頻拍を認め当科紹介。心室不整脈に対してβ遮断薬、カルシウム拮抗薬、アデノシン三リン酸、ナトリウムチャネル遮断薬、ニコランジルなどの各種薬剤の静注による急性効果を評価し、フレカイニドが最も不整脈抑制効果が強く、同薬剤の内服治療により不整脈頻度は著明に減少した。また、遺伝子検査で母と同様の遺伝子変異を認めた。【考察】ATSは常染色体優性遺伝を示し、本例では50%の発症確率が予想され、出生直後から慎重に定期心臓検診を行い適切な時期での治療介入が可能であった。幼児ATSに伴う心室不整脈においてもフレカイニドは治療の第一選択になり得る。