[I-OR02-01] 小児における自己心膜による大動脈弁再建術（AVNeo）の短期および中期成績
キーワード：大動脈弁再建術, AVNeo, 自己心膜
【目的】小児における大動脈弁治療において，弁置換術も自己肺動脈弁移植術（Ross手術）も課題が多いが，尾崎らの自己心膜による大動脈弁再建術（AVNeo）は手技に再現性がありサイズの自由度も高く近年注目されている。また，自己の弁輪が温存されるため，弁輪にステントが移植される弁置換術と比べ，血行動態的に有利であるだけでなく成長の可能性もある。本研究は小児のAVNeoの短期および中期成績を検討するものである。【方法】2016年8月より2017年12月まで当院で連続6例のAVNeoが施行された。手術時の年齢は9.23 ± 0.93歳（以下すべて平均±標準誤差），男 : 女 = 1 : 1であり，追跡期間は16.3 ± 3.0ヶ月であった。AS 2例， ASR 4例でpure ARは認めなかった。AVNeo以外にCoA，ASD，大動脈弁上狭窄に対する修復術を併施していたものが1例ずつあった。【結果】手術時間403.3 ± 29.3分，人工心肺時間225.2 ± 15.3分，大動脈遮断時間142.3 ± 9.2分であり，挿管期間2.7 ± 0.5日，ICU滞在期間7.2 ± 1.0日，術後在院日数24.2 ± 3.68日で，late tamponadeが1例あった以外は死亡を含む重大な合併症は認めなかった。UCG上の大動脈弁最大流速は術前後で改善傾向にあり（p=0.06），術後経過では悪化はなかった（p=0.14）。大動脈弁輪径（AVD）は術後を1とした時の絶対値の比では術前後で縮小傾向にあるが（p=0.07），術後経過では有意に拡大していた（p=0.04）。体格を加味したAVD%Nでは術前後でも（p=0.12）術後経過でも（p=0.45）大きな変化を認めなかった。ARは術前後で改善傾向にあり（p=0.06），術後経過でそれを維持していた（p=0.08）。【結語】AVNeoの短期成績は良好で，大きな合併症なく術前後で狭窄および逆流は改善を得ており，大動脈弁治療としての安全性および有効性が示された。中期成績からは，改善した弁機能がその後も維持されていること，そして弁輪径も体格に合わせて拡大していることが示唆された。