第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

外科治療

一般口演4(I-OR04)
外科治療 3

2019年6月27日(木) 14:50 〜 15:40 第4会場 (中ホールA)

座長:猪飼 秋夫(静岡県立こども病院 心臓血管外科)
座長:小出 昌秋(聖隷浜松病院 心臓血管外科)

[I-OR04-03] Intrapulmonary-artery septation -肺静脈狭窄合併例を打開できるか?-

石道 基典, 渡辺 謙太郎, 太田 惠介, 菅野 勝義, 伊藤 弘毅, 村田 眞哉, 廣瀬 圭一, 長門 久雄, 猪飼 秋夫, 坂本 喜三郎 (静岡県立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:Intrapulmonary-artery septation , Fontan, pulmonary vein obstruction

【目的】片肺循環系症例はFontan型手術適応は困難とされる。我々はIntrapulmonary-artery septation (IPAS)を報告し、片側肺動脈低形成症例(PAhypo)に対する有用性を示した。しかし、肺静脈狭窄(PVO)合併例に対する治療成績は明らかではない。PVO合併例に対する有用性を検討した。【方法】1998年1月から2018年12月に片肺循環能力低下症例に対しIPASを施行した42例を対象とした。後方視的に生存、TCPC到達有無、心カテーテル検査から得た各種データから、肺静脈狭窄合併例(P群)と非合併例(H群)につき検討した。【結果】IPAS後follow up期間 0-20年(中央値11)であった。P群24例、H群18例で死亡はH群1例(5年94% 10年94% 15年94%)、P群6例(5年83% 10年83% 15年72%)で有意差を認めた(Log rank=0.05)。TCPC到達はH群15例(83%)、P群18例(75%)で有意差を認めなかった(P=0.51)。(a)IPAS前、(b)IPAS後、(c)TCPC後1年目、(d)遠隔期でのPA index(mm2/m2:全て中央値)はH群:(a)147 (b)166 (c)156 (d)179、P群:(a)182 (b)214 (c)210 (d)195で、P群ではIPAS後の肺動脈成長を認めるが、長期的に成長不良となる傾向を認めた。TCPC到達はH群15例(83% 片肺TCPC 0例)、P群18例(75% 片肺TCPC 6例)であった。P群で10例がTCPCまでにPVO解除(mean PG<4)を達成し、全例で両側肺TCPCに到達した。PVO未解除14例で6例がTCPC未到達、8例がTCPC到達したが、6例が片肺TCPCで、PVO未解除例で有意に多かった(P=0.001)。PVO未解除例で6例が死亡(5年70% 10年70% 15年53%)し、PVO解除例と比較して有意差を認めた(Log rank=0.02)。TCPC到達、死亡に対する多変量解析ではPVO解除(mean PG<4)達成の有無に有意差を認めた(TCPC:P=0.04 死亡:P=0.01)。その他に明らかな有意差を認めなかった。【結語】IPASはPAhypo例に対する有用性は高いが、PVO合併例に対しては対応困難な症例が少なくない。IPASの有用性はPVO解除の難易度に規定されると考えられる。