[I-OR04-05] 気管支背側を走行するMAPCAのunifocalization術後の血管成長についての検討
キーワード:肺動脈閉鎖, MAPCA, Unifocalization
目的 肺動脈閉鎖(PA)・心室中隔欠損(VSD)・MAPCAの患者に対し、乳児期に行うunifocalization(UF) は標準的な外科治療となった。しかしUF後のMAPCAの中には、狭窄や成長不全を認め、追加の外科治療・カテーテル治療を要するものが少なくない。このstudyでは、通常の肺動脈の走行とは異なり、気管支背下面-肺門へ向かう特殊な走行をするMAPCAに焦点を当て、UF後の血管成長を評価する。方法2001年1月-2018年12月の期間で、当院でUFを行ったPA/VSD/MAPCA患者9名のうち、術前CT検査で気管支背面を横走し肺門部へ向かうMAPCA(retro-bronchial MAPCA; rbMAPCA)が確認された患者4名(男児3名)を対象とし、UF前後のrbMAPCAをCTでフォローし、血管径の計測により血管成長を評価した。結果 UF前の血管造影検査は、中央値日齢34(24-76)、体重2.8(2.7-3.6)kg で行った。MAPCAの総数は13本、患者1人あたり平均3.3±0.5本。全4例で中心肺動脈(1例はnon-confluentな中心肺動脈, PA index:169(54-245))を認めた。CTで、rbMAPCAは合計5本(38%)、気管支背側に置ける血管径は3.6(3.2-4.1)mm、血管係数で21.2(15.8-21.7)mm/m2と計測。UFは月例1.6(1.0-2.5)カ月、体重2.9(2.7-3.3)kgで、全例正中切開で一期的に完成し、肺血流源はBTシャントとした。rbMAPCAは、4本がin situで、1本は起始部を離断後に気管前方へ転置してからUFを行っている。UF完成後2.8(0.12-7.4)年後のCT検査(1例が心内修復完成後、3例が心内修復完成前)で、rbMAPCAの血管径は3.3(2.0-8.8)mm、血管係数は9.7(4.4-16.4)mm/m2であり、血管係数はUF後で有意に低かった(p=0.0264, paired t-test)。結語rbMAPCAは、in situでUFした場合、気管支を回旋して中縦隔に出現する部分の成長が見込めない可能性が高い。UFの際には、MAPCAを充分に剥離した上で、気管支前方へ転置する事で、正常肺動脈分枝の走行に近いデザインとなり、後の成長不全を回避できる可能性がある。