[I-OR08-03] Deep learningを用いた,胸部X線写真から肺体血流比を予測する方法の開発
Keywords:人工知能, deep learning, 胸部X線写真
【背景】肺体血流比(Qp/Qs)は先天性心疾患における治療方針決定に重要な指標であるが.その正確な測定はカテーテル検査を必要とするため侵襲が大きい.胸部X線写真は先天性心疾患患者において肺血流を評価するのに有用な,簡便かつ低侵襲な方法であるが,その評価は主観的,定性的である.我々は,近年精度が向上しているdeep learning(いわゆる人工知能・AI)による画像診断技術を用いて,胸部X線写真から定量的にQp/Qsを予測する方法を開発した.
【方法】2005年1月から2017年12月に当院小児循環器科でカテーテル検査を施行された連続1,515例のうち,カテーテル検査でQp/Qsを測定されており,かつカテーテル検査前1か月以内に胸部X線写真を撮影されている症例を対象とした.対象症例のうち50例を評価データとし,残りの症例を用いて,胸部X線写真からQp/Qsを予測するように既存のAI(Inception-v3, Google)を学習させた.評価データを用いて学習後のAIの性能を評価し,さらにQp/Qsを4段階評価した際の正答率を小児循環器医3名と比較した.
【結果】対象は891例で,年齢中央値3.2歳(IQR 1.1-7.3),男児51%,平均Qp/Qs 1.4(SD 1.0)であった.872例(98%)が先天性心疾患を有した.Deep learningが胸部X線写真から予測したQp/Qsと,カテーテル検査で測定したQp/Qsの相関係数は0.81,級内相関係数は0.72であった.Deep learningが予測したQp/Qsの正答率は,臨床医の読影と比較し有意に高かった(70% vs 46%,P=.038).
【結論】Deep learningを用いることで,先天性心疾患患者において胸部X線写真からQp/Qsを定量的かつ客観的に評価することができた.
【方法】2005年1月から2017年12月に当院小児循環器科でカテーテル検査を施行された連続1,515例のうち,カテーテル検査でQp/Qsを測定されており,かつカテーテル検査前1か月以内に胸部X線写真を撮影されている症例を対象とした.対象症例のうち50例を評価データとし,残りの症例を用いて,胸部X線写真からQp/Qsを予測するように既存のAI(Inception-v3, Google)を学習させた.評価データを用いて学習後のAIの性能を評価し,さらにQp/Qsを4段階評価した際の正答率を小児循環器医3名と比較した.
【結果】対象は891例で,年齢中央値3.2歳(IQR 1.1-7.3),男児51%,平均Qp/Qs 1.4(SD 1.0)であった.872例(98%)が先天性心疾患を有した.Deep learningが胸部X線写真から予測したQp/Qsと,カテーテル検査で測定したQp/Qsの相関係数は0.81,級内相関係数は0.72であった.Deep learningが予測したQp/Qsの正答率は,臨床医の読影と比較し有意に高かった(70% vs 46%,P=.038).
【結論】Deep learningを用いることで,先天性心疾患患者において胸部X線写真からQp/Qsを定量的かつ客観的に評価することができた.