[I-OR08-04] 心疾患小児における中心静脈血圧の評価のための超音波せん断波エラストグラフィーにおける肝硬度の有用性
キーワード:Elastography, CVP, 肝硬度
【背景】超音波せん断波エラストグラフィー(Shear Wave Elastography:SWE)による肝硬度は成人心不全患者の中心静脈圧(CVP)を反映することが知られている。 しかし、小児患者におけるCVPとSWEの肝硬度の関連は明らかではない。 今回SWEの肝硬度が小児患者におけるCVPの非侵襲的指標として有用かどうかを評価した。【方法】2017年、2018年に当院に入院した20歳未満の先天性心疾患を有する79名(10.3±4.9歳、二心室群(B群)45名、フォンタン群(F群)34名)の患者において、心臓カテーテル検査前に超音波SWEを使用して肝硬度を測定した。肝疾患を合併した患者はいなかった。肝硬度とCVPを含めた他の臨床的変数との間の関係について分析した。 【結果】全患者群での肝硬度は中央値1.56(0.9-2.27)m/sであり、B群1.35(0.90-2.12)m/sとF群1.89(1.24-2.27)m/sと二群間で有意差を認めた(p<0.0001)。全患者群での単変量解析で年齢・心拍数・CVP・心係数・γGTP・ビリルビン・血小板数(すべてp<0.05)と相関した。また、CVPは多変量解析における肝硬度と有意に相関していた唯一の因子であった(p<0.001)。なお両群の検討において、肝硬度とCVPはB群(p=0.0014, r=0.462)とF群(p=0.0002, r=0.633)でともに有意な相関がみられた。IV型コラーゲン・M2BPGi・P-3-Pなど肝線維症に関連する検査データは肝硬度と相関しなかった。【結論】超音波SWEによる肝硬度測定は、小児において二心室群のみでなくフォンタン群においてもCVPの非侵襲的指標として有用である。