[I-OR09-03] Glenn術後に心筋炎となりECMOにて救命した一例
Keywords:Glenn, 心筋炎, ECMO
【背景】Glenn循環におけるECMOは特殊な循環動態から予後が悪いとされてきた。Glenn術後の単心室症例が心筋炎を起こしショックとなったためECMOを導入し救命したため報告する。【症例】生後10ヶ月男児。診断:TA(2b), DORV, PS, 両側心耳並列。胎児診断症例でPSがあり姑息術は施行せずに生後6ヶ月でDKS, Glenn術を施行した。術後心機能低下を認めたが徐々に改善しLVEF37%、HOTを導入して退院とした。生後8ヶ月、入院前日から2回嘔吐を認め二次救急を受診した。来院時は活気あったが、採血時から活気不良と多呼吸、低酸素血症、乳酸アシドーシスを認め当院へ搬送となった。発熱、採血上CK-MB, ミオシンL1, 心筋トロポニンI, AST, LDHの上昇、心エコー検査でLVEF9%と著明な心収縮不良があり、心筋炎と診断し挿管管理・カテコラミンを開始とした。入院5時間後にショックとなりアシドーシスが進行したためVA-ECMOを導入した。心収縮の改善は乏しく、左室径も拡大しておりPOD3で左室ベントを挿入した。呼吸状態は問題ないと判断しPOD7人工肺離脱とした。LVEF10%前後で推移していた。元々の心機能低下があるためECMO送血による後負荷増大により心機能を過小評価している可能性を考えECMO流量を減量したところ、血圧は維持されLVEFは23%まで改善した。POD10にボスミン負荷下にクランプテストを施行しLVEF10%から41%まで改善し血圧維持出来る事を確認したためPOD11にECMO離脱とした。POD13閉胸。POD38に抜管とした。【考察】複雑心奇形を合併する低心機能症例が心筋炎を起こした場合、急激に心不全が悪化する可能性があり早期ECMO導入を検討すべきである。ECMO離脱の指標にエコー所見を用いることは低心機能の症例において過小評価となりうる。日々の変化を捉えるためには適宜クランプテストないしECMO流量を下げて後負荷の軽減をしたうえで心機能評価を行うべきである。