[I-OR09-04] 血液凝固分析装置を用いた周術期希釈性凝固障害のリアルタイムモニタリング
キーワード:人工心肺, 希釈性凝固障害, 血液凝固分析
【背景】小児心臓外科手術は希釈性凝固障害をきたしやすいため、2014年以降、当施設ではFFPクリオプレシピテートを導入し、血液製剤使用量の削減に成功した。そこで、新たな血液凝固分析装置を用いたモニタリングを行い、科学的根拠に基づいた輸血療法の最適化に取り組むことで、血液製剤の更なる使用量削減を可能とするシステムを確立することを研究テーマとしている。【目的】周術期における従来の血液凝固データと導入した血液凝固分析装置TEG6sのパラメーターとの相関を検討する【方法】2018年2月~11月に施行した小児心臓外科手術人工心肺使用症例のうち、周術期にTEG6sを用いて血液凝固分析を施行可能であった17例を対象とした。採血は1症例につき、1)人工心肺装着前、2)人工心肺離脱直後、3)集中治療室入室時、4)手術翌朝、の4時点で行い、TEG6sは各薬品を添加したReaction time(R:凝固時間)、Kinetics(K:血餅形成速度)、Maximum Amplitude(MA:最大血餅強度)、Lysis(L:線溶)を測定した。【結果】上記4点におけるフィブリノーゲン血中濃度・血小板数は、261±64mg/dl・32.4±8.0×104/μl 、117±41mg/dl・4.8±2.2×104/μl、 205±75mg/dl・13.1±5.5×104/μl 、301±76mg/dl・24.9±10.6×104/μlと推移し、人工心肺離脱直後はともに低値であった。全ての時点を網羅したMA-CRTと血小板数、MA-CFFとフィブリノーゲン値は、強い相関(R=0.775、0.739)を示した。ヘパリン中和の指標となりうるR-CKとR-CKHの差は2.5±5.5、中央値は0.95であった。【考察・結語】小児心臓外科手術周術期における希釈性凝固障害のモニタリングに、血液凝固分析装置のパラメーターは有用である。それらをいかに臨床にフィードバックさせるかが、今後の課題である。