[I-OR10-01] 動脈管依存性心疾患に対するPGE1製剤投与中のmorbidityについての検討
Keywords:動脈管, プロスタグランジン, morbidity
【背景】PGE1はEP1、EP2、EP3、EP4受容体を介し全身に作用するため、長期投与例はそれぞれの受容体を介した副作用が出現する。PGE1はPDA以外の肺血管および体血管にも作用するが、周術期に及ぼす影響は不明である。【目的】動脈管依存性心疾患に対するPGE1製剤長期投与中のmorbidityについて、待機中及び周術期における問題を検討すること。【対象と方法】対象は、2014年1月から2018年12月までの5年間に当院で手術を行った動脈管依存性心疾患のうち、PGE1製剤を30日以上使用した22症例。PGE1投与期間<70日: A群、70日≦: B群とし、経過中のmorbidityおよび術後経過について診療録をもとに後方視的に検討した。【結果】全体の在胎週数38±1.7週、出生体重2718±405.2g、PGE1投与期間94±40日であり、染色体異常、周術期死亡は認めなかった。経過中にPDAの狭小化をきたしPGE1-CDを必要とした症例は12例(54%)、副作用は15例(68%)に認めた。B群はA 群に比べmorbidityが高く[発熱(A: 14% B: 27%)・低Na血症(A: 43% B: 53%)・骨膜肥厚(A: 0% B: 60% p<0.05)・血液培養陽性(A: 0% B: 13%)]、術前CRP(A: 0.29±0.63 B: 1.5±2.0)も高値であったが、術後カテコラミン投与期間、ドレーン留置期間に差は認められなかった。【考察】PGE1長期投与は待機中のmorbidityを高めたが、術後のmorbidityへの影響は認めなかった。全体の6例(27%)にPGE1投与によると思われるCRP上昇を認め、感染症との鑑別が問題となることが多かった。また骨膜肥厚を認める症例は鎮痛剤投与が必要となることが多く、慎重な管理を要した。血管への作用から術後のcapillary leakが懸念されたが、術後に問題とはならなかった。【結語】当院におけるPGE1長期投与(95±40日)は、morbidityを増加させたが、周術期のmorbidityへの影響は少なかった。