第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

集中治療・周術期管理

一般口演10(I-OR10)
集中治療・周術期管理

Thu. Jun 27, 2019 2:50 PM - 3:40 PM 第5会場 (中ホールB)

座長:大崎 真樹(静岡県立こども病院 CCU)
座長:宮本 隆司(北里大学病院 心臓血管外科)

[I-OR10-02] 小児心臓手術後の難治性胸水に対するオクトレオチドと第XIII因子製剤のランダム化比較試験(中間報告)

八鍬 一貴, 森下 寛之, 武井 哲理, 吉竹 修一, 阿知和 郁也, 金子 幸裕 (国立成育医療研究センター 心臓血管外科)

Keywords:難治性胸水, オクトレオチド, XIII因子

【背景】小児心臓手術後にはしばしば乳糜胸を含む難治性胸水がみられ、治療に難渋することがある。この保存的治療では絶食や脂肪制限食など栄養治療とオクトレオチドや第13因子製剤などの薬剤投与があり、外科的治療としては胸管結紮や胸膜癒着術などがある。この使い分けは確立されておらず施設ごとに行われている。この治療に使用されるオクトレオチドなどの薬剤は難治性胸水に対して保険適応外であり、効果も前向き試験で検討されたことはないが、他に有効と思われる薬剤は存在せず標準的に使用されている。当院では第13因子製剤投与が効果的だったと思われる症例を経験した。【目的】オクトレオチドと第13因子製剤の難治性胸水への効果および安全性を比較検討する。【方法】栄養面からの介入ではコントロールの出来ない心臓外科手術後の大量胸水患者に対してランダム化を行い、オクトレオチド投与群と第13因子投与群に割り付けて治療介入を行い、治療効果を比較した。投与量は、オクトレオチドは2.0 μg/kg/時投与、第13因子製剤は0.5 ml/kg/日投与。投与期間はいずれも5日間。観察期間は2014年8月から2017年7月までの3年間。【結果】症例数は両群共に10例。日齢、体重、介入時の体重、介入前の胸水量に有意差はみられなかった。介入後の胸水量減少の程度や、抜去までの期間にも有意差はみられなかった。また明らかな有害事象の発生は両群にて見られなかった。【考察】オクトレオチドと第13因子製剤では有効性に明らかな差は見られず、またどちらも観察期間内に有害事象の発生は見られなかった。現在中間解析途中であり、その結果で観察期間を延長する可能性がある。症例数を増やすことで有意差が見られる可能性がある。【結論】術後難治性胸水に対するオクトレオチドと第13因子製剤の有効性に差は見られなかった。観察期間の延長にて有意差が見られる可能性がある。