第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

集中治療・周術期管理

一般口演10(I-OR10)
集中治療・周術期管理

2019年6月27日(木) 14:50 〜 15:40 第5会場 (中ホールB)

座長:大崎 真樹(静岡県立こども病院 CCU)
座長:宮本 隆司(北里大学病院 心臓血管外科)

[I-OR10-03] 小児開心術後集中治療患者におけるデクスメデトミジンの有効性,安全性,薬物動態の検討(国内多施設共同第III相臨床試験)~世界初の小児適応の獲得

根本 慎太郎1, 竹内 護2, 鈴木 康之3, 高橋 直基4, 竹中 信子5, 高田 亜実5, 小林 美穂子5 (1.大阪医科大学外科学講座 胸部外科学教室, 2.自治医科大学 麻酔科学・集中治療医学講座, 3.国立成育医療研究センター 手術・集中治療部, 4.丸石製薬株式会社, 5.ファイザーR&D合同会社)

キーワード:dexmedetomidine, 鎮痛, 集中治療

【目的】2018年11月,デクスメデトミジン塩酸塩(DEX)の小児適応が世界で初めて日本で承認された。この承認申請に用いられた小児開心術後集中治療患者を中心としたDEXの国内第III相臨床試験の結果を報告する。【方法】人工呼吸中の小児(修正在胎45週以上17歳未満)に対しDEXを静脈内投与した。最大投与速度の設定は小児の血漿中濃度の予測値が成人の最大維持投与速度(0.7 μ/kg/h)を投与したときの血漿中濃度と同程度となるように設定した。初期負荷投与は行わず、開始投与速度は0.2 μ/kg/hとし,維持投与速度は患者の鎮静深度に応じ,修正在胎45週以上6歳未満では0.2~1.4 μ/kg/h,6歳以上17歳未満では0.2~1.0μ/kg/hとした。有効性評価項目は,DEX投与開始から投与24時間あるいは人工呼吸終了(いずれか早い方)までの期間に適切な鎮静に到達・維持するために人工呼吸中にレスキュー鎮静薬(ミダゾラム)の投与を必要としなかった被験者の割合とした。【結果】有効性解析対象63例中,調査対象は61例であった。調査対象において,観察期間までにレスキューの投与を必要としなかった被験者の割合[95%信頼区間]は77.0%(47/61例)[65.0, 85.9]であり,治験の有効性解析対象集団の結果と同様に,調査対象においても有効性判定基準(40%)をおよび期待有効割合(60%)を上回る結果であった。試験中に認められた副作用はDEXの持つα2-agonist作用としての予想される反応である徐脈(11.5%)と低血圧(4.9%)、そして呼吸抑制(3.3%)であった。重篤な有害事象はDEXとの因果関係のない心タンポナーデ1例のみで、試験中止例および死亡はなかった。DEX投与終了1~2時間前(もしくは漸減開始直前)の薬物動態は年齢群による明らかな差はなく,大部分が目標血漿中DEX濃度に到達していた。【結論】本試験結果により小児開心術後の集中治療における小児DEXの有効性と安全性が確認され、世界初の小児適応を獲得した。