[I-OR11-02] Fontan循環における門脈血流の減少
Keywords:腹部循環, 肝線維化, 門脈循環
背景:肺への駆動心室欠如を特徴とするFontan循環において,体静脈圧上昇から門脈血流低下が推察される.目的:Fontan術後患者(Fontan群)と二室循環患者(BV群)におけるMRIを用いた門脈血流測定とその比較.方法:Fontan群13例(Fontan術後6.2[5.1-25]年),BV群11例(ASD5;PS1;HCM1;LVNCCM1;TOF.APV術後1)の計24例においてMRIを用いたPhase contrast法により心係数に加え門脈血流量と血流速度を測定し(各々大動脈弁上と門脈本幹に関心領域を設定した),2群間で比較検討した.結果:Fontan群13例(Fontan術後6.2[5.1-25]年),BV群11例(ASD5;PS1;HCM1;LVNCCM1;TOF.APV術後1)の計24例においてMRI( Phase contrast法)により心係数に加え門脈血流量と血流速度を測定し,2群間で比較検討した.結果:Fontan群およびBV群において,検査時年齢(9.8[8.3─34.5]歳vs 10.9[4.6─17.7]歳),性別(男性)(7例[54%] vs 5例[45%])に有意差はなかった.心係数(L/min/m2)に有意差はなかったが(2.78[1.19─4.85]vs 3.28[2.35─4.30],P=0.25),門脈血流量(L/min/m2)(0.23[0.14─0.51]vs 0.35[0.22─0.82],P=0.04),門脈血流速度 (cm/s)(9.6[3.9─12.4]vs 11.7[9.5─19.8],P=0.002)はいずれもFontan群で有意に低下していた.Fontan群の心係数-門脈血流量相関分布の回帰直線係数はBV群に比較して低下傾向にあった.門脈血流量・速度は肝線維化マーカー(血小板・γGTP・ヒアルロン酸)と相関はなかった.結論:Fontan循環では門脈血流量および血流速度の減少が見られ,門脈循環capacitance低下が認められた.MRIは門脈循環の評価に有効な方法である.