第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

胎児心臓病学

一般口演12(I-OR12)
胎児心臓病学

Thu. Jun 27, 2019 4:50 PM - 5:30 PM 第5会場 (中ホールB)

座長:西畠 信(総合病院鹿児島生協病院 小児科)
座長:与田 仁志(東邦大学医療センター大森病院 新生児科)

[I-OR12-04] 母体抗SSA抗体による完全房室ブロックに対する胎内治療(母体ステロイド投与)が新生児の副腎機能におよぼす影響と管理法

前野 泰樹1,2, 広瀬 彰子1, 前田 靖人1, 吉本 裕良1, 籠手田 雄介1, 岸本 慎太郎1,3, 須田 憲治1 (1.久留米大学医学部 小児科, 2.聖マリア病院 新生児科, 3.大分こども病院)

Keywords:胎児徐脈, 胎内治療, 副腎機能

【背景】母体の抗SSA抗体による胎児完全房室ブロックでは、胎内治療として母体へのフッ化ステロイド投与があるが、有効性を否定する報告や副作用の報告もある。副作用には長期ステロイド投与による胎児副腎への影響も懸念されるが、新生児の副腎機能障害の有無や管理方法の報告は少ない。そこで当施設で管理した症例の新生児期の副腎機能を調査し管理方法について検討した。【方法】2012年1月から2018年12月の7年間に当院にて管理した母体抗SSA抗体による胎児完全房室ブロックの全7症例。胎内治療としての母体ステロイド投与の状況と新生児の副腎機能、副腎不全の発症の有無、およびステロイド補充療法の経過について病院記録より後方視的に情報を収集した。【結果】在胎19-24週(中央値22週2日)に診断され、全例にすみやかに母体ステロイド4mg投与(ベタメサゾン 5例、デキサメサゾン2例)を開始。房室ブロックの改善はなかったが、5例(71%)が房室弁逆流や水腫の軽減など心筋障害が軽減し有効と判断されていた。ステロイドは全例出生前には0.5mgまで漸減されていた。在胎32-38週(中央値37週0日)で出生(SFD2例、LFD2例)。全例出生直後よりハイドロコルチゾンの静注によるステロイド補充が開始されていた。初回ACTH検査で2例に低値を認め、このうち1例ではステロイド補充漸減中に副腎不全による低血圧をきたした。さらにACTHが正常域の1例でも漸減中に副腎不全を疑わせる症状があり再増量にて改善していた。新生児期死亡の1例以外の6例では、ACTHおよびコルチゾール値を確認しながら、コートリル内服に移行し1-4ヶ月でステロイド補充を漸減中止できていた。【結論】胎児期にステロイド投与量を0.5mgまで減量していても、2例(29%)が新生児期早期に副腎機能の抑制が認められており、出生後のステロイド補充および漸減には慎重な対応が必要と考えられた。