[I-OR18-05] 学会による小児循環器領域の治験推進活動
キーワード:小児治験, 推進活動, 保険適用外
【背景】小児に使用される医薬品の約7割は,健康保険適用外といわれている.未承認・適応外の医薬品には,不安定な供給,剤形変更,副作用被害救済の対象外となる可能性,医療訴訟に不利,エビデンスに基づかない医療といった問題がある.カテーテル治療や手術の医療機器の遅れも,医薬品と同様の状況にある.日本小児循環器学会(本学会)では保険診療・臨床試験委員会が中心となり,このような問題の解消のため治験推進活動に努めてきた.【方針】2013年に活動に着手し,関係者と討議を重ね2015年に第1段階の規約を作成した.そのコンセプトは,本学会が治験依頼者(企業)と治験実施契約(以下,契約)を締結し,治験の立案・調整・実施や規制当局との交渉の支援にあたるというものである.2018年に第2段階に進み,支援業務と対価を具体的に設定した.契約が締結されると,理事をリーダーとしたプロジェクトチームが発足しWEBミーティングを開き,ホームページに治験の概要が掲載される.以後,契約に基づき必要な業務を追加し遂行していく.小児治験ネットワークや日本小児科学会による新薬開発促進のためのAMED研究とも適宜連携する.【現況】抗心不全薬,利尿薬,抗不整脈薬,抗凝固薬に関する既存治験で4社,肺血管拡張薬と手術素材に関する新規治験で3社,合計7社と契約を締結した.新規治験では,データベースによる対象患者数の把握,アンケートによる参加施設の選定,プロジェクトチームによるプロトコール作成など立ち上げから関与する.治験の迅速な推進は最大の目標で,終了後も論文や添付文書の作成,さらに製造販売後調査まで支援する計画である.【結語】日本でも,小児領域での治験が重視されるようになり,本学会は活動実績で先鞭をつけてきた.患者・家族のためにも,本学会会員の皆様にはぜひ治験の推進に協力をお願いしたい.