[I-P01-02] 当院における乳幼児Peripheral VA-ECMOの検討
キーワード:peripheral ECMO, ECLS, 集中治療管理
【背景】心原性ショックや重症呼吸不全に対する小児Peripheral ECMO(pECMO)治療の有効性が昨今大きくクローズアップされているが、乳幼児におけるpECMOに対する画一された管理・治療法は現在得られておらず、ECMO症例の集約化促進や国内の限られた小児用ECMO 製品のデバイス・ラグ等の問題と共にECMO 診療体制の整備が急務とされている。今回当院で経験したpECMO症例の中で施設間ECMO搬送を生じた例と頸部カニュレーションに関して教訓的であった例を中心に、その成績や問題点を後方視的に検討した。【対象】対象は2015年12月以降にpECMOを導入した(Central ECMO除く)乳幼児5例。導入時月齢中央値7 (5~17)ヶ月、体重中央値6.3kg (5.6-11.7)kg。原疾患は劇症型心筋炎1例、先天性心疾患 3例(三尖弁閉鎖症2例, 先天性大動脈弁狭窄症・大動脈弓低形成1例)、右肺無形成・気管狭窄1例。全例右頸動脈送血・右内頸静脈脱血によりVA-ECMOを確立し4例で離脱時に頸部動静脈を再建した。【結果】4例でECMO離脱に成功するも2例で脳梗塞を発症した(1例は頸部動静脈結紮例)。唯一のRespiratory ECMO症例ではpECMO導入後に気管狭窄修復目的に他院へECMO搬送を実施し外科治療を経て合併症なく退院し得た。施設間ECMO搬送には紹介先施設との緻密で迅速な搬送準備・手段の役割分担や事前シミュレーションが有用であった。脳梗塞を生じた1例(頸部動静脈再建例)では後にMRA検査で左前大脳動脈A1欠損・両側胎児型後大脳動脈という稀な非定型Willis動脈輪を持つことがわかり右内頸動脈灌流域の脳梗塞の原因が判明した。【結語】乳幼児Peripheral ECMOは依然として重大な合併症に留意すべき治療法ではあるが、たとえECMO導入後の搬送となるSecondary Transportsでも管理バンドルを徹底することで病院を越えて児の救命率向上につながり得ると考えられた。今後症例の蓄積を重ね、合併症予防を含めた最善のECMO 診療体制の整備を模索していきたい。