[I-P01-04] 心室中隔欠損症に合併する気管軟化症の合併例の検討
キーワード:VSD, 気管、気管支軟化症, 染色体異常
【背景】気管、気管支軟化症を合併する先天性心疾患として血管輪、肺血流増加疾患、ファロー四徴症などが知られている。先天性心疾患全体と軟化症合併例の報告はあるが、心室中隔欠損 (VSD) に合併する症例での検討した報告はない。【方法 】当院PICUに2013年1月から2018年12月の6年間でVSDの心内修復術(ICR)後に入室した患者を対象として、患者背景(年齢、体重、染色体異常の有無、肺体血流比Qp/Qs、肺血管抵抗Rp、平均肺動脈圧、欠損孔サイズ、Kirklin分類、ICR前後の気道感染での入院回数、気管、気管支軟化症の有無)を診療録より後方視的に検討した。【結果】対象は122例、月齢の中央値は7か月(3-19ヶ月)、体重の中央値は4.9kg(3.6-5.7kg)であった。気管、気管支軟化症を合併した症例は、11/122例(9%)であり、うち染色体異常を有する患者が4/11例(36%)であった。軟化症を合併の有無とVSDに関する因子(Qp/Qs、Rp、平均肺動脈圧、欠損孔サイズ、Kirklin分類)との関連はなかった。気管、気管支軟化症を有する児はICR前の気道感染での入院回数は、軟化症がない児と比較して有意に多く(0.05vs0.3回、P<0.05)、ICR後の入院も同様であった(1.2vs2.8回 P<0.05)。【考察】VSDと気管、気管支軟化症を合併した例はICRが治療の第一選択である。ICR前だけでなく、ICR後も気道感染での入院が多く、軟化症の所見は残存していることが影響していると考える。【結論】気管、気管支軟化症を有するVSD患者では気道感染時の悪化のリスクが高く、気道病変も考慮し、早期ICRを検討する必要がある。