[I-P02-02] 肺動脈絞扼術への心嚢水合併例の検討
Keywords:肺動脈絞扼術, 心嚢水, 先天性心疾患
【背景・方法】先天性心疾患術後心嚢水(PE)は発症機序、リスク因子には様々な見解があり、心内修復を行わない肺動脈絞扼術(PAB)後にも合併する。今回2006年1月1日~2018年12月31日の期間で、当施設でのPAB症例におけるPEのリスク因子を検討する。【結果】PAB及び両側PABを行った35手術(33症例)中、心嚢水合併は7件。手術時日齢はPE有:無=61日:34日(中央値、P<0.05)で、発症日の中央値は術後6日目(3-29日目)だった。手術時体重はPE有:無=3800g:3143g(中央値、P<0.05)、手術時間は95.5分:131.5分(中央値、P<0.05)。PE合併は全て初回手術後で、全件で利尿剤を増量し、アスピリン併用4件、ステロイド併用6件、心嚢ドレナージ4件であった。感染症合併はPE有:無で0件:4件であった。死亡例はPE有:無で0件:2件。1件で術後85日目にPEを発症しドレナージを行ったが、手術との関連は不明である。【考察】PABでは手術時日齢が高く、体重がより大きく、手術時間が短いことがPE合併のリスク因子であり、心臓手術歴がPE合併を減らす因子である可能性が示された。ステロイド使用の有無が心嚢ドレナージを回避するか否かの検討は本研究ではできなかった。現在術後PEの重症度の評価基準や、治療介入・方法に関する共通の指標は存在せず、当院では早期からの利尿剤とステロイドの使用が多い傾向にあった。今後それらの統一指標の構築と共にPEリスクの予測モデルの構築が期待される。