[I-P02-04] 小児開心術後悪性高熱症の2例
Keywords:悪性高熱症, 横紋筋融解症, 小児開心術
【背景】悪性高熱症は,麻酔薬や筋弛緩薬が誘因とされる周術期合併症として知られている.2例の開心術後悪性高熱症を文献的考察をふまえて報告する.【症例】(症例1)10歳女児,診断はASD,脳性麻痺.麻酔合併症の既往はなし.術前心カテの麻酔薬はイソゾール,ミダゾラム,セボフルラン,エスラックスを使用しQp/Qs=2.1で手術適応とされた.手術時の麻酔薬はミダゾラム,プロポフォール,セボフルラン,エスラックス,アルチバを使用し術中の最高体温は37.9℃であった.術後経過は順調であったが術後2日目から39℃の発熱を認めた.術後3日目には急性腎不全となり,輸液負荷への反応に乏しく,CK異常高値から横紋筋融解症と診断し血液透析を開始した.術後5日目に解熱傾向となり,利尿が得られ血液透析から離脱した.その後,覚醒に伴い筋緊張亢進,発熱あり術後9日目よりダントロレンを開始した.術後31日目からダントロレンを漸減中止し,術後48日目に退院となった.(症例2)3ヶ月女児,診断はTOF,PA,MAPCA,22q11.2欠失症候群,気管軟化症.術前心カテの麻酔薬はミダゾラム,セボフルラン,アルチバ,エスラックスを使用し,UF+palliative Rastelli術の方針となった.手術時の麻酔薬はミダゾラム,イソゾール,セボフルラン,アルチバ,エスラックスを使用し術中の最高体温は36.8℃で開胸,腹膜透析管理でPICUに帰室した.術後4日目に循環動態安定し閉胸も,38.2℃の発熱およびCK上昇,ミオグロビン尿から横紋筋融解症と診断しダントロレン,血液透析を開始した.無尿が持続したが,術後9日目より尿量が得られ術後14日目にダントロレンを中止,術後18日目に血液透析から離脱.術後55日目にはCKは正常化した.現在,在宅移行に向けて入院中である.【考察】2症例とも遅発性の開心術後悪性高熱症であり診断に苦慮した.悪性高熱症は治療の遅れが予後に直結するため,開心術の周術期合併症として注意すべき病態である.