[I-P03-04] 先天性心疾患術後における筋弛緩薬使用期間と人工呼吸離脱時期の検討
キーワード:筋弛緩薬, 鎮静, 呼吸管理
【背景】人工呼吸中に筋弛緩薬はなるべく使用しない方がよいが、体動により呼吸循環動態が悪化する場合には適切な鎮静薬を併用した上で筋弛緩薬を使用してもよいとされる。筋弛緩薬をやむを得ず長期に使用する例では、抜管困難となることをしばしば経験する。【目的】筋弛緩薬投与期間が、呼吸器離脱期間に与える影響を明らかにする。【対象】2014年1月から2018年12月に当院で先天性心疾患の周術期に筋弛緩薬を使用した19例。ただし、染色体異常合併症例、術後縦隔炎や消化管穿孔、ECMO導入などで抜管時期が著しく遅れた症例は除外した。【方法】筋弛緩薬使用が4日以内を短期群(n=13)、5日以上を長期群(n=6)に分けた。検討項目は、心疾患重症度スケール(1~10)、手術時体重(kg)、手術時月齢(ヶ月)、麻酔時間(分)、人工心肺時間(分)、筋弛緩薬使用期間(日)、人工呼吸離脱までの期間(日)とした。心疾患重症度は当院ではPEEP、PIP、呼吸回数を減少させながらウィーニングを行い、spantaneous breathing trial(SBT)成功例に対し抜管1時間前にデキサメサゾン静脈投与後に抜管している。抜管後はnasal CPAPやnasal high flowにて呼吸補助をしている。【結果】二群間で筋弛緩薬使用期間(1.6 vs 8.3)、人工呼吸離脱までの期間(5.7 vs 23.0)で有意差を認めた(p=0.0004、p=0.0013)。心疾患重症度スケール(6.46 vs 6.67)、手術時体重(4.48 vs 4.62)、手術時月齢(4.32 vs 3.05)、麻酔時間(426.1 vs 523.8)、人工心肺時間(134.3 vs 187.7)に有意差は認めなかった(p=0.8188、p=0.2919、p=0.4289、p=0.2924、p=0.3302)。重回帰分析においては、人工呼吸離脱までの期間との筋弛緩薬使用期間においてのみ有意差を認めた(p<0.0001)。【結語】先天性心疾患術後にやむを得ず5日以上の長期に筋弛緩薬を使用する場合には、人工呼吸離脱困難になる可能性があり、抜管時に注意が必要である。