[I-P05-01] Fontan術後患者の脳Magnetic Resonance Spectroscopy評価 ~手術侵襲の脳への影響~
Keywords:Magnetic Resonance Spectroscopy, Fontan, 脳
【背景】Magnetic Resonance Spectroscopy (MRS) はMagnetic Resonance Imaging (MRI) の手法の一つで、生体分子中にある原子核の共鳴周波数の違いにより、生体内の化学物質 (代謝物) の有無や濃度を測定するために用いられる。測定項目の一つであるn-acetyl aspartate (NAA) は脳の成熟を反映し、lactate (LAC) は脳のダメージを反映すると言われている。【目的】Fontan術後患者における大脳基底核、大脳白質内のNAA、LACの濃度を測定し、手術侵襲との関連を検討する。【対象】Fontan術後患者のうち周術期に心肺蘇生や補助循環管理を要さなかった22例。男児は13例で、検査時の平均月齢は29であった。Glenn手術到達月齢は2-7 (平均:3.5) で、Fontan手術到達月齢は12-21 (16.5) であった。【方法】診療録より初回ポンプ手術日齢、Glenn、Fontan手術時のポンプ時間、心停止時間、最低直腸温を抽出し、MRSで測定した大脳基底核、大脳白質内のNAA、LAC濃度との関連を検討した。【結果】Glenn手術時の心停止時間は大脳白質内NAAと負の相関を示した (r=-0.5, p=0.02)。また、初回ポンプ手術日齢が大脳基底核内LACと負の相関を示した (r=-0.46, p=0.03)。Fontan手術時の項目のうち関連を示す物は無かった。【結論】グレン手術とそれ以前の手術では、その侵襲度が脳の成熟やダメージに影響する可能性が示唆された。低年齢でのポンプを用いる手術は、脳への影響をより考慮する必要がある。